金属錯体、特に希土類錯体は、多彩な発光特性を示す一方で、一般的な有機化合物は、Kasha則に則り最低励起状態S1からの発光のみが通常紫外~可視光領域に観測される。本研究は、反芳香族化合物に注目して、有機化合物で希土類錯体に匹敵するような多様な発光特性を実現することを目的とした。 反芳香族性の強さの異なるイソフロリン誘導体の発光特性の評価を系統的に行った。反芳香族性を示したイソフロリンは、いずれも可視及び近赤外域での反カシャ二重蛍光特性を示した。一方、反芳香族性を示さないイソフロリンは蛍光を示さなかった。これより、反芳香族性を導入することが二重蛍光特性を実現するのに有効であることが明らかになった。
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