研究課題
(1) 高容量化,溶解度の低下によるサイクル特性の向上,導電性の向上による活物質配分量向上を目指し, p-ベンゾキノン(BQ)の両側にTTFが融合したドナー・アクセプター分子を新たに開発した。そのビス(エチレンジチオ)誘導体(BEDT-TTF-Q-TTF)を正極活物質としたリチウムイオン電池の充放電特性について検討したところ,初回満放電容量が117 mAh/gを示し,六電子利用時の理論容量(250 mAh/g)の46%であった。平均電圧は3.23 V,初回放電エネルギー密度は377 mWh/gであり,容量及びエネルギー密度は小さいもののTTPQ (2.86 V)よりも高電位化に成功した。今年度開発した分子の電池特性はいずれも目標値には達していないものの,最近になってTTPQのTTF末端にBQが融合したQ-TTP-Qの合成に成功しており,この分子の理論容量(397 mAh/g)を考えると,理論容量の90%程度の容量が出れば目標のエネルギー密度(1,000 mWh/g)を超えることが期待される。この分子を正極材料としたリチウムイオン二次電池の充放電特性評価を検討したところ、初回満放電容量が178 mAh/gを示し、八電子利用時の理論容量(397 mAh/g)の45%であった。また、30 回充放電後において初回満放電容量の35%の容量を保持することが明らかになった。理論容量よりも低い容量しか示さない原因ならびに短いサイクル寿命が活物質の溶出に由来するのか否か、について現在究明中である。(2) 既存分子ではあるが,テトラチアテトラセン(TTT)が413 mWh/gの放電容量を示し,初回放電に対するエネルギー密度が880 mWh/gに達した。今後,TTTに適切な化学修飾を行い,高容量化と高電位化を図ることで目標のエネルギー密度に達することが期待される。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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