これまでに提案されてきた可視光応答型のフォトクロミック分子のほとんどが450 nm以下という短い可視領域の光での反応に留まっていた。また、酸素が存在する通常の環境下で使用できない点も大きな障害となっていた。それに対し、本研究で開発した分子は、500 nmを超える長波長側の可視光のみで光反応が起こるだけでなく、酸素存在下においても反応性が全く減少しないことが確認できており、学術的な観点だけでなく応用の観点からも興味深い分子として期待される。 また、近赤外領域の蛍光を効率よくスイッチングできる分子系は今後のバイオイメージング等の分野において重要なツールとして発展していく可能性が十分に期待できる。
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