本研究は、環状希土類錯体を拡張した柔軟な非閉鎖系ナノ空間を創出することである。非閉鎖系空間はフラーレンやカーボンナノチューブなどのπ電子系化合物の捕捉に適したナノメートルスケールの疎水性空間を構築する。希土類錯体はその特徴として、配位子と金属イオンとの結合はイオン結合性が支配的であり結合に柔軟性がある。そのためゲスト分子のサイズや大きさに応じて構造とサイズを変調できる柔軟なナノ空間の創出が可能である。本研究を展開する中で、架橋配位子のスペーサー長、すなわち希土類イオン間の距離に依存した新規キラル認識機構など、当該領域における新たな科学的な知見が得られた(Chem. Sci. 2021)。
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