研究課題/領域番号 |
19H02695
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
横田 泰之 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (00455370)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電気二重層 / 光電子分光 / 走査トンネル顕微鏡 |
研究実績の概要 |
蓄電池等の更なる性能向上のため溶液/電極界面の原子スケール解析が強く望まれているが、液体の存在によって実験手法が著しく限られている。現在、界面をその場で測定するin situ手法の開発が進んでいる一方で、我々は界面に形成される厚さ1 nmの電気二重層を保持したまま電極を液体から引上げて超高真空中に導入する技術の開発に成功している。本研究では、真の原子スケール解析が可能な超高真空極低温走査トンネル顕微鏡を用いて凍結電気二重層のスナップショット測定(ex situ測定)を行い、in situ測定では取得できない電極上のイオン・溶媒・反応中間体分布を解析し、従来の理想化された電気二重層モデルでは捉えられない現実電極系の新しい物理化学を創成する。 我々は、レドックス活性種が溶液中で感じる静電ポテンシャルを真空中においても保持できることを初年度に見出しており、今年度はその詳細な解析と理論的考察を行った。その結果、溶液中の酸化還元電位と真空中の仕事関数に相関があること、さらにそれぞれの絶対値は絶対電極電位の概念で関連付けらえることを見出した。 また、初年度に構築した電気化学セルから試料搬送するシステムを活用し、グラファイト電極及び金電極の界面構造のLT-STM測定を行った。その結果、光電子分光測定の結果から予想される電気二重層由来のイオン種の吸着構造を精密に決定することに成功した。また、その吸着構造には明確な引上げ電位依存性が見られることも明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の目標の一つは、溶液中の酸化還元電位と真空中の仕事関数に相関を見出す点にあったが、さらにそれを進めて絶対電極電位の概念と結びつけることにも成功した。また、界面構造の解析についても、既に引上げ電位依存性の実験に成功しており、当初の計画以上に研究を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
上で述べたように、これまでの実験は当初の計画以上に進展しており、来年度の研究計画を変更する必要は無い。
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