研究課題
研究代表者が独自に発見したカルボン酸の水素化基礎学理を利用して多彩な展開があった。特に(PNCP)Ir錯体が低PH2(6 atm以下)、低温(100-160°C)でカルボン酸を水素化することができたことは特筆すべきである。どのような錯体触媒を使っても金属カルボキシラートが触媒不活種になることが判明した。触媒活性種へと復活させるためには、(PP)Ruカルボキシラーとの場合はPP配位子に十分な工夫を凝らすこと、またIrカルボキシラートの場合はカチオン性ではなく中性のIr錯体(すなわち(PNCP)Ir錯体)を用いることが重要なことが、詳細な量子化学計算を通じた遷移状態計算、触媒サイクルの同定によっても明らかとなった。実験結果と理論計算結果が見事に一致する成果を得た。本研究成果に関わる日本語の概説はすでに投稿済みで、英語論文を現在執筆中である。それ以外にも、新しいPP配位子の開発に基づく(PP)Ru錯体触媒の活性化法(BCSJ 2021)、特殊なPP配位子で化学修飾された(PP)Ru錯体を用いる低温でのアミノ酸の水素化(Adv. Synth. Catal. 2020)、(PNNP)Ir錯体を用いるトリカルボン酸回路由来のポリカルボン酸の水素化(Sci. Adv. 2020)、(PNNP)Ir錯体とZrCl4を用いるバイオマス由来のモノおよびジカルボン酸の水素化(ACS Catal 2022)、など多彩な触媒系を発見し、発展させることができた。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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