5~7族の金属錯体は、様々な原子価や酸化状態を取れるため、これまで重合や酸化反応に使われてきた。本研究では、申請者が独自に見出したgem-二金属反応剤が有するアルキリデン種等価体としての反応性を基に、これまでとは異なる視点から新反応の開拓を目指した。その結果、オレフィンの立体選択的スタニルシクロプロパン化や、エンインやアルキニルケトンの付加を伴う環化反応を見出し、発生するアルキリデン種等価体が、求核的なSchrock型の反応性を有することを明らかにした。また、配位子を適切に添加することで、環化反応の経路のスイッチングや、活性種であるgem-二クロムシリルメタンの単結晶X線構造解析に成功した。
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