研究課題/領域番号 |
19H02726
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山口 潤一郎 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00529026)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | パラジウム / ニッケル / 芳香族化合物 / ジアリールメタン / テトラアリールメタン / 逐次カップリング |
研究実績の概要 |
本研究は、申請者らが見出した芳香族化合物の脱カルボニル型カップリング反応の非線形展開を目指した触媒開発を行う。具体的には、エステルダンス(転移)反応、脱酸素型反応、メタセシス反応(アリール転位反応)という高難度反応開発を促進する新触媒を開発する。 すでに上記3つの反応開発は初年度に成功しており、本年度はこれら新規反応の新たな可能性を探った。 1. エステルダンス反応:1,3-アゾール類のC-Hアリール化に加え、アニリン誘導体のアミノ化、分子内エーテル化との逐次反応の収率向上、基質適用範囲の拡大に成功した。また、新たに分子内C-アリール化も本逐次反応に有効であることを見いだした。 2. 脱酸素型反応:当該反応の機構解明研究により、有機リン化合物は求核剤としてのみならず、phospha-Brook転位により還元反応を促進していることが判明した。そこで、異なる求核剤を用いれば、phospha-Brook転位を駆動力として脱酸素型変換反応が進行するのではないかと考えた。アリールボロン酸を求核剤として選定し、芳香族エステルから触媒的に変換可能なジアリールケトンへとワンポットで誘導した後、脱酸素型変換反応条件(パラジウム触媒、ギ酸ナトリウム、ジフェニルホスフィンオキシド)に付した。その結果、ジアリールメタンに加え、二量化したテトラアリールエタンが副生した。反応条件を精査したところ、テトラアリールエタンを高収率で得られる条件を見いだした。 3. アリール転移反応:2つの芳香族化合物を芳香族スルフィドと芳香族求電子剤に設定したところ、スルフィドのアリール基上の転移反応が進行することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
すでに本研究での開発目標であった3反応の開発に成功し、さらに基質一般性の拡大のみならず、同じアイデアを活用した新規反応の創出にも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
今回の反応開発で主として3つのカテゴリーでさらなる改良や新規反応の開発を続けていく予定である。なお、その際に発見した副反応2つに関してもユニークな化学へ感であるためそちらも着手したいと考えている。
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