研究課題
基盤研究(B)
これまで多くの分子自己集合が熱力学支配によって行われてきたが、多成分の自己集合体など熱力学支配では実現不可能な集合体が存在する。本研究は、この問題を解決するために、速度論による分子自己集合の可能性に着目し、自己集合過程を実験および理論的に解明し、機構解明に基づき分子自己集合を速度論支配できることを明らかにした。また、この成果をもとに、分子自己集合の素反応が可逆であっても分子自己集合を系全体として非可逆系として準安定な多成分自己集合体を形成する一般手法も開発した。
超分子化学
分子自己集合はナノレベル以上の構造体を形成するための基本的な現象であり、生命系の組織形成や材料など広く利用されている。人工系の分子自己集合の多くは熱力学支配であるために、生命系に匹敵する複雑集合体の形成ができなかったが、本研究によって実証された速度論支配の分子自己集合により準安定、多成分といったこれまで達成が不可能な分子自己集合体を合理的に形成する道を切り拓き、自然界における自己集合の更なる理解や分子自己集合に基づく材料開発に大いに貢献すると期待される。