本研究では、ラマン分光を基盤技術として用い、細胞内部の物質分布や温度分布を非染色で可視化する新しい分光顕微鏡の開発を目的として研究を行った。これまで細胞観察においてはほとんど利用されていなかった低波数スペクトル領域を高速に観測できる新規顕微イメージング装置を開発し、拡張された測定領域から得られたラマン信号を用いて細胞内のタンパク質、脂質、水などの分布を可視化可能なことを示した。さらに信号解析に係るノイズ低減処理法を開発し、温度計測や物質分布解析の精度向上を達成した。開発した装置を用いて、生細胞の温度分布イメージングを行い、細胞内部に温度の不均一性が存在することを示唆する結果を得た。
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