粉末X線回折測定は,天然鉱物や金属・セラミックス等の実用材料,医薬品の分析等に広く用いられる分析手法である。2000 年代から実験室型の粉末X線回折測定装置にアレイ型 PIN フォトダイオードをセンサーとするX線検出システムが搭載されるようになり,粉末X線回折測定システムのパフォーマンスが飛躍的に向上することになった。しかし,従来型の測定装置とはわずかに実質的な部品配置が異なることにより,従来用いられた理論モデルを使うことができない一方で,正しい理論モデルの提案されていない状況が続いていた。本研究はこの問題を解消し,現代的な粉末X線回折測定技術の理論的な基盤の整備を実現した意義がある。
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