研究課題
ソフトルイス酸機能は、アルケン、アルキン、芳香族などのπ電子を活性化する機能で、例えば均一系の金錯体触媒の機能はほぼ全てこれに該当する。金錯体触媒によるアルケンやアルキンの変換は有機合成への応用を中心に大きく発展しているが、触媒回転数や再利用性に問題があり実用性は不十分である。錯体触媒では0価への還元と凝集による失活、さらには生成物との分離が困難で、実用性を損なうクロマトグラフィーが必要という問題がある。一方、Au(0)の担持ナノ粒子触媒のほとんどの機能は酸化還元触媒である。そもそも0価の金属がルイス酸として働くのかどうかという疑問もあるが、我々はAu (0)ナノ粒子が、ソフトルイス酸機能を持つことを見出し報告してきた。ソフトルイス酸機能を持つ担持貴金属は、パラジウム、白金、金があり、それぞれの金属で作用機序が異なっている。また、金属の酸化されやすさなどの違いにより、触媒活性を最適化させる原理も異なる。これまで検討している6種類のソフトルイス酸機構を含む反応で得られた情報を整理したところ、金は基本的に0価金属が活性種で粒子径は小さいほど活性は高いことがわかった。アリル異性化反応として取り組んでいる3,4-DABE異性化反応では、この傾向が明確になった。さらに流通式反応では、この傾向が顕著になり、粒子径の増大が触媒の失活と直接関係していることが明らかになった。また、担体比表面積あたりの金ナノ粒子の担持密度が高いほど高活性ということもわかった。パラジウム触媒では、粒子径が小さいほど高活性になるわけではなく、最適な粒子径が存在することが分かった。これはPdの粒子径が3 nm以下になると、活性が低いPdOの割合が増えるためである。また、白金触媒系では塩化物イオン、臭化物イオンなどハロゲンが重要な役割を果たすことが分かり、論文を発表した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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