研究実績の概要 |
本研究の目的は液晶性高分子に普遍的に適用可能なモノドメイン液晶エラストマー(MDLCE)の調製法と設計指針の確立である.非晶セグメントが結合した液晶性高分子からなる液晶ブロック共重合体(LCBCP)をミクロ相分離させ,非晶セグメントに架橋を施す.この手法では液晶性高分子に架橋可能な非晶鎖を結合してミクロ相分離させ,その構造を配向させることでMDLCEが普遍的に調製できる.架橋は非晶部にのみ施されるので液晶構造に欠陥が生じることはない.本研究の目的は,ブロック共重合体ミクロ相分離を利用した液晶高分子に普遍的に適用可能なMDLCE調製法の確立である.MDLCEの伸縮率,収縮応力と液晶性高分子の構造,液晶種,ミクロ相分離構造,液晶セグメント分子量との相関を解明し,MDLCEの設計指針を確立する. 本年度は,主鎖とメソゲンを連結するスペーサーがメソゲン側部に結合しているside-on側鎖型高分子液晶の合成とブロック共重合体の調製を行い,side-on側鎖型高分子液晶の特徴がミクロ相分離挙動をに及ぼす影響を調査した.その結果,side-on側鎖型高分子液晶がネマチック液晶性であること,スペーサー炭素数nが6, 8では,ミクロ相分離界面に対してメソゲン長軸が垂直にあるホメオトロピック様配向をするのに対して,n = 8, 10となるとメソゲン長軸がミクロ相分離界面に平行にあるホモジニアス様配向をとること,ホメオトロピック様配向の影響によって,ラメラ状ミクロ相分離構造が安定化されることを見出した.
|