研究実績の概要 |
① 側鎖型液晶性高分子を一成分とするAB型ブロック共重合体(BCP)を合成した.本研究の特徴は,側鎖型液晶性高分子は,棒状メソゲンがスペーサーと端部で結合したend-on型が一般的であるところを,棒状メソゲンがスケーサーと側部で結合したside-on型側鎖型液晶性セグメントとした点にある.side-on型はend-on型よりも主鎖配向と液晶配向のカップリングがより強く,その強さは,スペーサー炭素数nが長くなるに伴い弱くなるという報告に基づき,配向カップリングがミクロ相分離界面に対する液晶配向とミクロ相分離挙動に及ぼす影響を調査した.いずれのBCPでも液晶セグメント主鎖は界面から垂直に伸びきっていた.一方,側鎖メソゲンはn = 6, 8のBCPでは,液晶はミクロ相分離界面に対して垂直に配向し,n = 10, 12のBCPでは液晶はミクロ相分離界面に平行に配向した.液晶セグメント体積分率φ = 70%での相分離形態はn=6,12でラメラ状,n=8,10でシリンダー状であり,液晶配向がミクロ相分離挙動に及ぼす影響とともに,BCPの体積組成とセグメント長さのアンバランスもラメラ状相分離をもたらしていると考えた. ② 主鎖型ネマチック液晶を一成分とする液晶ブロック共重合体について,非晶セグメントの架橋したモノドメイン液晶エラストマー(MDLCE)を調製し,相転移に伴うミクロ相分離構造変化と伸縮挙動を検討した.液晶セグメント分子量1万,液晶体積分率64%のMDLCEは液晶配向方向に積層したジグザグ状のラメラ状ミクロ相分離構造を形成した.このMDLCEは液晶-液体相転移に伴い40%可逆に収縮した.ミクロ相分離構造は,ラメラ間隔25 nmは一定のまま,ラメラ法線の繊維軸から傾き角を56度から38度へと減少させた.試料の収縮率はミクロ相分離構造の変形で説明できた.
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