研究課題/領域番号 |
19H02774
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
永野 修作 立教大学, 理学部, 教授 (40362264)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 側鎖型高分子液晶 / 光配向 / プロトン伝導 / ナノパターニング / サーモトロピック液晶 / リオトロピック液晶 |
研究実績の概要 |
アゾベンゼンモノマー(Az)とアモルファス高分子モノマーの共重合体は、液晶側鎖層とアモルファス側鎖層が主鎖を介して相分離したラメラ構造を有する新たな液晶性ラメラ構造を形成し、本研究提案のヘテロスメクチックラメラ(HSL)構造を形成する。本年度は、このヘテロラメラ構造の配向技術を確立することを目的とし、以下の結果を得た。
1)サブ10 nmパターン誘導自己集合(DSA)材料を志向したHSL構造 かご型シルセスキオキサン(POSS)側鎖とAz側鎖を持つモノマーの共重合体(P(Az-r-POSS))は、長距離秩序性の高いラメラ構造を示す。P(Az-r-POSS)の単独の薄膜は、ホメオトロピック配向を示す。ポリジメチルシロキサンとPAzのブロック共重合体(PDMS-b-PAz)をP(Az-r-POSS)に少量添加した膜を調製し、PDMS鎖の表面偏析によりP(Az-r-POSS)のランダムプレーナー配向を誘起した。この薄膜に液晶温度下にて直線偏光を照射することで、P(Az-r-POSS)の面内一軸配向を達成した。 2)スメクチック液晶性とプロトン伝導性も持つHSL構造 Az側鎖モノマーとアクリル酸(AA)の共重合体P(Az-co-AA)は、Az側鎖とカルボン酸側が主鎖を介して相分離したラメラ構造を形成する。P(Az-co-AA)は、ホメオトロピック配向を示す。上記と同様にPDMS-b-PAzをP(Az-r-AA)に少量添加し、PDMS-b-PAzの表面偏析を利用することで、P(Az-r-AA)のランダムプレーナー配向を誘起した。この薄膜に直線偏光を照射することで、P(Az-r-AA)ヘテロラメラ構造の面内一軸配向膜を調製した。一軸配向膜のラメラ構造に垂直および平行方向の加湿下50℃のプロトン伝導度を評価し、平行方向の伝導度が垂直方向に比較し、一桁弱ほど高いことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度、本研究が提案する新たな液晶ラメラ構造を見出し、2020年度、研究代表者の独自の液晶高分子の配向手法を適用し、このラメラ構造の光配向技術を確立した。研究計画通りの進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の提案する液晶ラメラ構造の配向材料としての応用計画、1)サブ10 nmパターン誘導自己集合(DSA)材料を志向したヘテロスメクチックラメラ構造および2)スメクチック液晶性とプロトン伝導性も持つヘテロスメクチックラメラ構造、に向けた研究を、研究計画通り着実に進めていく予定である。
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