研究課題/領域番号 |
19H02795
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
横田 有為 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (60517671)
|
研究分担者 |
荻野 拓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70359545)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 熱電材料 / 共晶体 |
研究実績の概要 |
本年度は、共晶体熱電材料の設計を行うとともに、共晶体熱電材料の製造条件の確立を目指した。共晶体構造を有する熱電材料の設計では、まずは既に共晶体構造の作製を実現しているSrTiO3/TiO2, ZnO/Zn3Nb2O8に加えて、より高い熱電特性を示す材料系として金属間化合物のBi2Te3、SnSe等に関して検討を行った。その結果、Bi2Te3に関しては、Bi:Te=80:20の共晶点でBi2Te3/Te、SnSeに関しては、Sn:Se=50:50の共晶点でSn/SnSe、Sn:Se=33.3:66.6の共晶点でSnSe/SnSe2の共晶体が作製できると予想した。そこで、まずはZTが大きいSnSeの候補材料であるSn/SnSeおよびSnSe/SnSe2から育成を開始することに決定した。さらに、共晶体熱電材料の作製では、これまでに実験結果から効率的な材料探索を実施するためには、従来使用していたマイクロ引き下げ法からブリッジマン法が適していることが分かった。そこで、新たにブリッジマン法による結晶成長が可能な装置の立ち上げを行った。その結果、高周波誘導加熱方式により、最大1.5インチ径のバルク体が作製可能なブリッジマン炉を立ち上げた。さらに、共晶体熱電材料の熱電特性評価のための機器導入を行った。800℃までのゼーベック係数、熱伝導度、電気抵抗率の測定が可能な装置を導入することができた。また、ナノレベル化の検討を始めており、100 mm/min以上の高速成長によりロッド相がナノレベル化することが分かってきたので、今後はより高速な成長条件の検討を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に沿って特に問題なく進行しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度の材料設計の結果を元に、既に共晶体構造の作製を実現しているSrTiO3/TiO2, ZnO/Zn3Nb2O8に加えて、より高い熱電特性を示す材料系として金属間化合物のBi2Te3、SnSe等に関して共晶体構造を有する結晶の育成を行うとともに、その熱電特性評価を進める。共晶体熱電材料の作製では、昨年度導入した垂直ブリッジマン炉を用いて材料評価が実施可能なバルク体の作製を行う。さらに、さらなるナノレベル化を目指した結晶成長速度の高速化を試みる。
|