研究実績の概要 |
初年度は,ダイヤモンドアンビルセルと光学顕微鏡を用いる事により,各種蛍光体試料の蛍光スペクトル,残光減衰曲線の評価測定系を構築することができた.この測定系を活用して,まずイットリウムアルミニウムガリウムガーネット(YAGG)結晶中のCe3+イオンの長残光特性の圧力依存性を評価した.Ce3+:5d-4f遷移による蛍光波長は圧力印可でレッドシフトを示し,残光減衰寿命は残光発現のために電子トラップとして共添加導入したCr3+やYb3+イオンの種類によって,長くなる場合と短くなる場合があった.圧力印可に伴うホストの伝導帯エネルギーの上昇と3dと4f電子軌道の違いによる説明考察を行い,ほぼ論文は完成しており,投稿準備中である.また北海道大学の鱒渕准教授との共同研究で,提供試料であるBaCN2結晶ホストにおける,高圧印可でのEu2+:5d軌道結晶場分裂による蛍光波長の異常に大きなレッドシフトすることを見出した.この成果は応用物理学会英文論文誌であるAPEX誌に論文受理出版された(Y. Masubuchi, S. Nishitani, S. Miyazaki, H. Hua, J. Ueda, M. Higuchi, S. Tanabe, "Large red-shift of luminescence from BaCN2: Eu2+ red phosphor under high pressure", Appl. Phys. Express 13, (2020) 042009(3p) DOI: 10.35848/1882-0786/ab8055).その他Eu2+添加窒化物,酸化物結晶とのシフト幅の比較,ホスト材料の体積弾性率との負の相関についての成果論文を執筆,投稿準備中である.
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