一般に、希土類イオンなどの光活性中心は凝集すると発光効率が低下する。この現象は「濃度消光」として知られており、多くの固体発光材料で光活性中心の高濃度化を阻んできた。他方、もし消光中心が存在しなければ、光活性中心が高濃度凝集しても消光を抑制できる可能性がある。この構想に基づき、希土類イオンの高濃度凝集体を含むシリカガラスで、エネルギー移動を利用し、高効率な発光材料の開発を目指した。直径~5-10nmの希土類オルトリン酸塩ナノ結晶を含むシリカ-REPO4透明結晶化ガラスで、発光の内部量子効率がほぼ1で、濃度消光を示さず、自由なエネルギー移動と高効率発光が共存した可視・紫外発光材料の開発に成功した。
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