研究課題
これまで申請者らは,電気化学プロセスと融合させることにより,多孔体の組成を金属まで拡張可能とし,世界で初めて高品質なナノポーラス金属(金属ナノ多孔体)を実現させてきた。本物質系は,骨格が金属のみから形成している電気伝導性の高い多孔体であり,従来の無機酸化物系とは異なる電気化学系への応用が期待される。本研究では,ブロックコポリマーを水溶液中でミセル化し,目的とする金属の金属塩類を溶解させ,最後に金属イオンを還元させることで所望の金属骨格からなる多孔体を合成する。最終的には,バイオセンサの小型化を目的としているがこれに限るものではなく,幅広く応用可能な機能性多孔体の創製を目的としている。2020年度においては,用いる界面活性剤の種類・分子量や金属イオンの種類・量を調整することにより,異なる細孔径や壁厚などを高度に制御した。これにより,細孔表面の曲率が変わり,通常の金属ナノ粒子では形成が難しいとされている(熱的安定性の低い)高次結晶面やステップ,キンクなども,細孔空間の露出表面に多く露出させることができた。これらの場所には,配位不飽和の金属原子が多く存在しており,金属表面上で起こる反応を大幅に促進させることができた。具体的には,グルコース,メタノール,エタノールの酸化反応をモデル反応として行った。また,様々な種類の金属イオンを用いることで,合金化したメソポーラス薄膜を作製することが可能である。具体的には,貴金属と比較的安価な金属との合金化に成功しており,グルコースのセンシングにおいて,高いSensitivityを有することが確認できた。
1: 当初の計画以上に進展している
金属イオンとミセル表面との効果的な相互作用を促すように,ブロックコポリマーの親水部を予め設計しておくこともポイントであり,これらの制御により,予想以上の空間制御が可能となった。
我々の金属多孔体は,高い結晶性を有する金属で細孔壁を構築することにより,通常の金属なのナノ粒子では形成が難しいとされている(熱的安定性の低い)高次結晶面やステップ,キンクなども,細孔空間の露出表面に多く形成させることができる。これらの場所には,配位不飽和の金属原子が多く存在しており,触媒反応を大幅に促進させることができる活性なサイトとして働く。単なる細孔径の調整のみならず,積極的に活性点を多数露出できるように最適化することができる。このようなメソスケールでの空間制御により,「超」高活性電極が今後実現できると期待できる。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件)
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