ベンゼン架橋やビフェニル架橋に加え、種々の有機架橋ホスホン酸化合物の合成法に関する調査を継続しつつ、錯体触媒等の設計に有用なビピリジン架橋のホスホン酸エステルを用いたホスホン酸アルミニウム及びホスホン酸チタンの薄膜化並びに粉体合成を実施した。 ・ホスホン酸アルミニウム系では、種々の有機基を骨格内に含むメソポーラス薄膜を得ることに成功し、シリカ並みの有機基の導入に道筋を付けた。界面活性剤にPluronic F127を用いた合成を中心に検討してきたが、Pluronic P123を活用した結果、高比表面積の粉体合成も実現した。 ・ホスホン酸チタン系では、金属種の導入量を最少化する前駆溶液の組成を探索した結果、ホスホン酸アルミニウム系がAl:2P = 1:1であったのに対し、Ti:2P = 2:1の条件で構造規則性の高いメソポーラス薄膜の合成に成功した。混合系を構築するための極めて重要な知見であり、TiOxをAlOxで置換するという設計指針になった。 ・Al/Ti比が異なる混合系の粉体を合成し、水蒸気吸着測定による表面特性の序列化を試みた。骨格内有機基が大きいと疎水的な影響が顕著になるが、架橋有機基がビフェニルの場合でも、ホスホン酸チタン系(Ti:2P = 2:1)に比べ、水分子が配位するAlO4種を含む場合(Al:Ti:2P = 1:1:1)により親水的な挙動が観察された。 ・研究期間の終了間際になったが、ビピリジン架橋のホスホン酸エステルの入手ルートを開拓し、前駆溶液の調製法には改良の余地が残るが、本研究の最終目標であったビピリジンを導入したメソポーラスホスホン酸アルミニウムの合成に至った。架橋有機基の分子構造やリン原子の結合位置が金属源との反応に想像以上に影響することも確認した。今後は、独自技術の高度化を継続し、錯体触媒の設計を含め、触媒特性を最適化する空間環境等を提案していきたい。
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