研究課題/領域番号 |
19H02813
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
橘 泰宏 大阪大学, 理学研究科, 招へい教授 (30359856)
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研究分担者 |
関 修平 京都大学, 工学研究科, 教授 (30273709)
豊田 岐聡 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80283828)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハロゲン化金属ペロブスカイト / 太陽電池 / 非鉛ペロブスカイト / 電荷移動反応 |
研究実績の概要 |
具体的な課題として、(1)ペロブスカイト層形状におけるキャリア移動度並びに電荷移動反応の変化、(2)キャリア輸送層の移動度変化による電荷移動反応制御、(3)非鉛ペロブスカイト半導体膜の作製とダイナミクスの変化、(4)ペロブスカイト層内のホットキャリア輸送並びに界面のホットキャリア注入を設定した。 2019年度に、課題2について取り組んだ。鉛ベースのペロブスカイト層に対して、OMeTADホール輸送層へのドーピングレベルを制御するとペロブスカイト層・ホール輸送層間の界面電荷移動反応速度が変化することを明らかにした。特に、ドーピングレベルを増加すると、ホール移動度が増加するが、その増加と共に、界面電荷移動反応寿命が遅延することを明らかにした。ホール移動つまり界面電荷分離反応が進行した後、ホール移動度が大きいほど、ホールが界面から遠ざかる確率が上昇し、電荷再結合反応が遅延すると示唆された。この成果を学術論文として、2019年に成果発表を行った。 2019年度から2020年度に渡り、課題3について取り組んだ。非鉛金属として、スズ、ビスマスまたはアンチモンを用いて、均一なペロブスカイト膜の作製並びにナノ粒子の合成を試みた。その中で、臭化スズを元にしたペロブスカイトナノ粒子の作製に成功した。作製されたナノ粒子は、吸光係数が大きく、魅力的な光学特性を持つことが分かったが、大気下では、安定性が著しく低下することが分かった。このため、大気中における臭化スズペロブスカイトナノ結晶の構造変化のメカニズム並びに安定性の向上をターゲットにした研究を行った。成果の一つとして、ナノ結晶表面を改質することによって、安定性が向上することが明らかになった。現在は、得られたデータを解析し、論文投稿の準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究テーマにおいて、最初に具体的な課題として、(1)ペロブスカイト層形状におけるキャリア移動度並びに電荷移動反応の変化、(2)キャリア輸送層の移動度変化による電荷移動反応制御、(3)非鉛ペロブスカイト半導体膜の作製とダイナミクスの変化、(4)ペロブスカイト層内のホットキャリア輸送並びに界面のホットキャリア注入を設定した。 COVID-19の影響により、博士研究員の雇用並びに研究進捗に遅延が生じ、結果として研究全体に遅延が生じた。 課題2の主な内容については、移動度と界面電荷再結合反応との重要な相関を明らかにし、論文発表として成果発表を行った。一部の残された内容に関して、現在、様々なキャリア輸送層の最適化を行っている。 課題1と課題4に関しては、前年度からの遅延のために開始が遅れているが、今年度、後半に取り組む予定である。 課題3に関しては、非鉛金属として、スズ、ビスマスまたはアンチモンを用いて、均一なペロブスカイト膜の作製並びにナノ粒子の合成を試みた。その中で、臭化スズを元にしたペロブスカイトナノ粒子の作製に成功した。作製されたナノ粒子は、吸光係数が大きく、魅力的な光学特性を持つことが分かったが、大気下では、安定性が著しく低下することが分かった。このため、大気中における臭化スズペロブスカイトナノ結晶の構造変化のメカニズム並びに安定性の向上をターゲットにした研究を行っている。また、異なる構造のスズベースのペロブスカイト層の開発を現在行っており、今後の方向性を示す結果が得られれば、論文にまとめて、投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上記の課題3について、成果の一部を早急に論文としてまとめて投稿する予定である。COVID-19の影響により、博士研究員の雇用並びに研究進捗に遅延が生じ、結果として研究全体に遅延が生じた。また、同様の理由で、研究分担者の予定していた実験に遅延が生じた。研究において、2019年度までの課題が、2020年度にまで遅延したので、2021年度には、2020年度分と上記課題1,4の内容を完結することを目標とする。
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