研究課題/領域番号 |
19H02836
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
門出 健次 北海道大学, 先端生命科学研究院, 教授 (40210207)
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研究分担者 |
谷口 透 北海道大学, 先端生命科学研究院, 講師 (00587123)
村井 勇太 北海道大学, 先端生命科学研究院, 助教 (20707038)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | VCD / 円二色性 / 励起子キラリティー / 立体構造解析 / 特性吸収 |
研究実績の概要 |
昨年に引き続き、アルキン、アジド、ニトリル等のIR官能基のVCD励起子キラリティー法への応用可能性を検証するために、各種IR官能基を有する化合物を合成し、その実測VCDを検証した。生体関連中分子に対して、VCD励起子キラリティー法を適用させるため、中分子として、アシルセラミドを選び、分子内の二つのカルボニル基に対してのVCD励起子キラリティー法の適用を考えた。アシルセラミドは、人間の皮膚のバリア機能を担う巨大スフィンゴ脂質分子である。近年、アトピー性皮膚炎の原因がアシルセラミド合成酵素の欠損によるものであることが発見されている。創薬的見地からも、この巨大アシルセラミド分子の全合成研究を実施する。本分子には二つの不斉炭素があるが、その絶対配置決定(例えば天然体)は、通常の方法では極めて困難である。まず、超長鎖脂肪酸を有するセラミドの二級水酸基にアシル基を導入することにより、VCD励起子キラリティー法の適用が可能となると考えた。アシルセラミドは、細長い分子であるが、皮膚上で特殊な構造をとると考えられている。化学合成による純粋なサンプル供給を目指し、スフィンゴ塩基部分、および、長鎖部位の合成に成功し、全合成にむけての部分合成を実施した。特に、長鎖脂肪酸の合成に注力した。オメガ9位に二重結合を有する超長鎖脂肪酸は、これまでにほとんど合成例がない。超長鎖炭化水素の反応性の特性を溶媒により制御する方法を見出し、Wittig反応を基本としたカップリング反応により、C34:1の脂肪酸の合成に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種IR官能基の合成とVCD測定に成功しており、おおよそ、良好なVCDスペクトルを得る官能基の選択が可能となった。また、アシルセラミドの合成に着手し、部分的な合成に成功している。得られた結果について、論文発表、学会発表も実施しており、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
イソニトリル等のIR官能基のVCD励起子キラリティー法への応用可能性を検証するために、化合物を合成し、その実測VCDを検証する。特に、計算スペクトルとの比較により、その実用化について検討する。得られた、ビナフチル誘導体の理論計算を厳密に実施し、実測スペクトルと比較、最適と思われる官能基の割り出しを行う。生体関連分子へのVCD励起子キラリティー法適用を意識してセラミド類の合成をすすめる。引き続きアシルセラミド類の合成をすすめる。アシルセラミドは、人間の皮膚のバリア機能を担う巨大スフィンゴ脂質分子である。近年、アトピー性皮膚炎の原因がアシルセラミド合成酵素の欠損によるものであることが発見されている。創薬的見地からも、この巨大アシルセラミド分子の全合成研究を実施する。本分子には二つの不斉炭素があるが、その絶対配置決定(例えば天然体)は、通常の方法では極めて困難である。まず、超長鎖脂肪酸を有するセラミドの二級水酸基にアシル基を導入することにより、VCD励起子キラリティー法の適用可能性を検証する。さらに、バリア機能の本体であるアシルセラミドの高次構造解析に挑戦する。アシルセラミドは、細長い分子であるが、皮膚上で特殊な構造をとると考えられている。化学合成による純粋なサンプル供給し、純粋なアシルセラミドを用いて、まず、溶液中での高次構造に関する情報を得るため、VCD等の測定を検討する。また、セラミド類のミミックの合成を行う。セラミドが有する立体化学に着目したセラミド類の合成を実施し、ライブラリー化を行う。
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