研究課題
抗腫瘍性天然物アプリロニンA (ApA) は、細胞骨格タンパク質であるアクチン・チューブリン間のタンパク質間相互作用 (PPI) を誘導して微小管ダイナミクスを阻害するという新しいメカニズムでがん細胞の増殖を抑制する。有機小分子-アクチン複合体がチューブリンに直接作用する、もしくは微小管阻害薬がアクチンの重合ダイナミクスにも影響する例は過去にない。本研究ではアクチンに作用する天然物リガンドに特に注目して、創薬標的となる新たなPPI機能作用点の特定および関連する運動マシナリーの解明を目指した。機能性分子プローブを用いたアフィニティー精製により、多様な天然物リガンドの第2の標的分子を同定し三元複合体の構造や相互作用を解明する。さらにプローブの細胞内動態やin vitro構築系でのダイナミクスへの影響を精査し、生物活性発現メカニズムを解明することを目指した。アクチン結合性側鎖の構造簡略化したアナログの開発研究では、アプリロニンAのC23アシルオキシ基、ジメチルアラニンエステル、N-メチルエナミド基を持つ最小構造をもつ誘導体を合成し、分子間相互作用とアクチン脱重合活性を保持していることを確認した。さらに、様々なタンパク質を含む細胞抽出液から、アクチンを特異的にアフィニティー精製できることを示した。またPPI阻害作用を示すリガンドの結合様式を解明するため、光ラベル化実験に基づいて三元複合体モデルをin silicoで構築し,アクチン作用性リガンドの結合様式を推定した。分子ドッキングシミュレーションと分子動力学計算を行った結果、アクチン・チューブリン間のPPIを誘導するアプリロニンAの三元複合体の妥当なモデルの構築に成功した。現在、in vitro で再構築した複合体のクライオ電子顕微鏡による構造解明を目指して検討を進めている。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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