研究課題
基盤研究(B)
我々は、大腸菌内膜への膜タンパク質膜挿入において、MPIase(membrane protein integrase)と呼ばれる糖脂質が必須であることを明らかにしている。本研究では、MPIaseおよび合成類縁体とモデル基質タンパク質の分子間相互作用を物理化学的手法により解析した。表面プラズモン共鳴や飽和移動差核磁気共鳴の解析から、MPIaseのグルコサミン上の6-O-アセチル基とリン酸が、基質タンパク質の疎水性領域や塩基性アミノ酸との相互作用に重要であることを明らかにした。
生物有機化学
従来から知られている膜挿入因子は全てタンパク質であり、MPIaseは非タンパク質性の糖脂質がはたらく初めての例である。今回、我々はMPIaseの長い糖鎖部分が疎水性の高い基質タンパク質を素早く捕捉し凝集抑制することを実証した。MPIaseがタンパク質を捕捉する機構を調べることで、膜挿入機構の全容が明らかになるだけでなく、新しい機能をもった糖脂質を探索する手がかりになると考えられる。