研究課題
基盤研究(B)
私たちの身体を構成する物質は適切に更新される必要がある。神経細胞のように細胞自体の寿命が長い場合には、有害物の蓄積が疾患につながると指摘されている。そこで、細胞内の主要分解機構であるオートファジーを利用して、細胞内に存在する疾患原因物質を取り除く手法について研究した。疾患原因物質を選択するため、標的化リガンドと称する適切な化合物を選び、別途見出した分解タグ構造を分子鎖(リンカー)で結合してキメラ分子とした。このキメラ分子:AUTACを用いて、種々のタンパク質やミトコンドリアの分解を達成した。
ケミカルバイオロジー
オートファジーの機構解明についてノーベル賞が与えられた現在でも理解が難しい問題が残されている。そのひとつは、分解する相手(基質)を選択する機構である。私たちは、分解選択性の目印として働くタンパク質修飾を自ら見出して、これを疾患原因となるタンパク質等に自在に導入する手法:AUTAC法を開発した。特定の基質を分解する医薬品につながると期待される。オートファジー機構を用いる基質選択的分解剤は、AUTACが世界初の例であり学術的な意義も高い。