研究課題/領域番号 |
19H02851
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
難波 康祐 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50414123)
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研究分担者 |
村田 佳子 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・統合生体分子機能研究部, 特任研究員 (60256047)
中山 淳 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (60743408)
KARANJIT SANGITA 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 特任助教 (60784650)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ムギネ酸 / アルカリ性不良土壌 / ファイトシデロフォア / トランスポーター / ムギネ酸プローブ |
研究実績の概要 |
・本年度では当研究室で開発したトランスポーター標識プローブがムギネ酸・鉄錯体トランスポーターHvYS1を特異的に標識できているかの検証を行った。鉄欠乏オオムギと鉄十分オオムギの根のクロスリンク実験の結果から、鉄欠乏オオムギの根がより強く蛍光標識されていることが明らかとなった。ついで、クロスリンクした鉄欠乏オオムギの根の表面の免疫染色実験および根破砕液SDS-PAGEの蛍光バンドのプロテオーム解析によりプローブがHvYS1のみを特異的に標識していることを明らかにできた。また、本プローブがオオムギのみならず、イネやトウモロコシなどの他のイネ科植物に存在するYSLトランスポーターを標識できることも明らかにできた。 ・ムギネ酸等の低分子化合物の蛍光標識に有効な最小の蛍光分子TAP-VK1を開発した。TAP-VK1を用いることによって、最も小さな分子構造を持つ高血圧治療薬であるカプトプリルを蛍光標識することに初めて成功した。すなわち、カプトプリル が血管内皮細胞のアンジオテンシン変換酵素に局在する様子を可視化することに初めて成功した。今後、TAP類を用いてムギネ酸の挙動追跡を行なっていく予定である。 ・ムギネ酸の合成には高価な原料を用いるため、ムギネ酸プローブを大量に供給することは困難であったが、ムギネ酸と同じ生物活性を有する安価誘導体を開発している。本年度ではこの誘導体の大量供給法も確立できたことから、今後はこの安価誘導体を用いた種々のプローブ供給が期待できる。 ・プローブ合成に適用可能なquinolizidine骨格の簡便構築法を確立した。
以上の成果を基に、国内学会発表38件、国際学会発表4件、招待講演9件の成果を得ると共に、査読付き国際論文4報、総説1報、特許出願1件、プレスリリース1件の成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、開発したムギネ酸標識プローブがイネ科植物のYSLトランスポーターを特異的に標識していることを証明できた。これに加え、低分子化合物の細胞内挙動追跡を可能にする極小蛍光分子の開発にも成功した。これにより、トランスポーターを捉えるムギネ酸プローブおよび植物体内での挙動を明らかにするムギネ酸プローブがそれぞれ開発できたことから、ムギネ酸がイネ科植物の成長を促進する機構を解明するための準備段階が整った。また、ムギネ酸の合成には高価な原料を用いるため大量合成が困難であったが、同じ生物活性を有する安価誘導体の開発にも成功しており、この安価誘導体を用いることで機構解明研究が迅速に進められると期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
組織内追跡用ムギネ酸プローブを用いて、根から吸収されたムギネ酸の植物組織内での局在を明らかにする。また、根圏細菌類はイネ科植物が分泌するムギネ酸類を積極的に分解することが知られていることから、本プローブを用いてムギネ酸類が根圏細菌類にも取り込まれているかを明らかにし、取り込まれる場合は細菌の系統等を明らかにする。ついで、極小蛍光基と光親和性標識基を併せ持つムギネ酸プローブを合成し、ムギネ酸と結合するタンパク質の探索を行う。
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