共有結合で標的タンパク質機能を不可逆的に阻害するコバレントドラッグは、強く持続的な薬効などの利点の反面、標的以外の分子との非特異反応は毒性につながる懸念がある。近年、標的選択的に反応するよう論理的にデザインされたコバレントドラッグの開発が盛んだが、システイン残基を狙った反応基のバリエーションはごく限られていた。本研究では、新たなシステイン指向型反応基として、特異なひずみ構造を持つビシクロブタンアミド (BCBアミド) を見出し、不可逆的チロシンキナーゼ阻害剤に応用した。また、ケミカルプロテオミクスにより、反応基ごとに反応しやすいタンパク質が異なることを明らかにした。
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