本年度は主に「機械学習による核酸酵素の適応度地形の予測」に取り組んだ。
RNAリガーゼ(結合)活性を持つリボザイム、F1*から、大量の変異体を設計、合成し、独自の次世代シーケンシング(NGS)を用いた活性測定を行うことにより、大量のリボザイム配列と機能相関データを得ることができた。このデータをもとに深層学習モデルを構築し、活性を保ちつつ、親配列の約50%の塩基がことなる変異体を得た。さらに、このデータを解析することにより、このリボザイム近辺の配列空間における適応度地形についての、定量的知見を得ることに成功した。具体的には、酵素活性を保った配列空間(neutral network)は比較的「スムーズ」な地形を有し、予測可能性が高いことが判明した。このような適応度地形に関する定量的な実験データは極めて珍しく、今後様々な解析により、生体分子の進化についての新たな知見が得られると期待できる。
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