研究課題/領域番号 |
19H02866
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
豊福 雅典 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30644827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メンブレンベシクル / 微生物間相互作用 / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
ほとんどの細菌は多様な機能を持つ細胞外膜小胞(メンブレンベシクル(MV))を放出する。MVは細胞間相互作用において、細菌間やさらには、細菌ー宿主間で多くの役割を担っている。MVがこうした細菌間相互作用で機能を発揮するには、周囲の細胞にその積荷を受け渡すことが必須となる。しかしながら、MVの積荷が細胞に渡されていることは、数多くの研究例で実証されているにも関わらず、その詳細な過程やメカニズムについては全く理解されていない。そのため、MVが生体に及ぼす影響の範囲は未だに把握できていない。これに対し、本研究は、MVによる物質受け渡しプロセスとそのメカニズムを解明することを目指す。 MVによる物質受け渡しプロセスとそのメカニズムを解明するためにこれまでにMVをトラッキングできるライブセルイメージング技術を構築してきた。その結果、MVは細胞に付着する他にも、細胞表面を動いたり、細胞表面との付着と脱離を繰り返したり、多様な相互作用を示すことが明らかとなった。 さらに、MVを介した細胞間シグナル伝達に関して解析を行ったところ、それを促進する新たな因子を同定することができた。本因子はプロファージに由来しており、ファージ由来の遺伝子がMVの生産を介して微生物間コミュニケーションに介入する、新たな微生物間コミュニケーション様式を見出した。 MVの物質受け渡し機構の解明に向けて、引き続きMVに含まれている生理活性物質の解析も行い、殺菌作用を示す物質の候補も得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MVと細胞の相互作用の形式がMVの機能性とどのように関連しているかを明らかにするために、MVに活性物質を封入する技術も構築した。このマーカー分子を指標にして、MVの細胞への作用を可視化できることが期待される。さらに、MVの受け渡しが野生株と異なる変異体をスクリーニング出来るようになり、今後のさらなる成果が見込めるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
活性を付与したMV等を活用して、MVの作用機序を明らかにしていく。
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