研究課題/領域番号 |
19H02875
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
酒井 謙二 九州大学, 農学研究院, 教授 (50205704)
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研究分担者 |
田代 幸寛 九州大学, 農学研究院, 准教授 (90448481)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自家熱型高温好気消化 / 有機液肥製造 / 有機排水処理 / 複合微生物系 / 細菌群集構造変化 / メタゲノム解析 / 総括酸素移動容量係数 |
研究実績の概要 |
自家熱型高温好気消化(ATAD)法は、高水分含量の 有機性廃棄物の安定化・液肥生産法として有用な資源循環法であ理、高い分解効率、病原性微生物の死滅、運転の簡便さなどの利点を有する一方で、通気や消泡に必要なエネルギーコストが高いという経済的欠点も持っている。福岡県築上町で稼働するヒトし尿のATADプロセスは、3つのフェーズからなる異なる温度変化と特徴的な細菌群集構造を示し、高い窒素成分を残存する液肥の生産が可能なユニークなプロセスである。昨年度に引き続き本年度は、各フェーズのメタゲノムおよび主要構成菌のゲノム解析から、特徴的で動的なATADプロセスの理化学的特性および細菌群集構造変化の要因について検討した。 まず、原料のし尿と実機各フェーズ試料のメタゲノム解析を行い、28の機能遺伝子カテゴリーの構成変動を調査した。初期に存在比が大きく減少したのはファージ関連遺伝子群で、グラム陰性細菌に対する溶菌活性の上昇とプロテオバクテリア門の減少に関連していた。一方、初・中期で大きく上昇した芳香族・二次代謝産物関連遺伝子群は共存する他細菌との相互作用物質の合成やα多様性の減少と関連していると考えられた。中期では芽胞形成関連遺伝子群が上昇し、環境因子悪化により群集構造が変化したことと対応していた。また、プロセスを通してアンモニア体窒素が安定に蓄積するのは、硝化過程遺伝子の欠損とグルタミン酸分解・合成代謝系の存在により、窒素の有機化取り込みと無機化放出がサイクルを形成していることで説明できた。 さらに、自吸式通気攪拌装置を備え実機の温度変化が模倣できるラボスケールリアクターを製作して総括酸素移動容量係数(KLa)を一定に制御した運転を行った結果、高窒素含量の維持や特徴的細菌群集構造の形成には、剪断力が重要な因子であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (段落) |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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