研究課題
本年度は植物の香り応答に関する構造活性相関を完成させるために処理に用いる香り化合物に関して系統的に構造を変化させた類縁体を入手し、トウモロコシ実生に処理して遺伝子誘導を調査した。まずはそうした構造活性相関解析の際の処理条件を確定するため処理時間の効果を検討し、トウモロコシ実生はヘキセニルアセテート処理後2時間でプロテアーゼ阻害タンパク質遺伝子の発現量が最も高くなることを確認した。また、トウモロコシ実生を完全破砕するとみどりの香り関連化合物の局所濃度が2.3 mM程度に至ることを確認した。そうした検討結果を踏まえて1 mMの香り化合物溶液を発芽2週間のトウモロコシ実生に噴霧し、その2時間後の防衛遺伝子発現程度を指標にヘキセニルアセテートをリード化合物として構造活性相関解析を実施することとした。まず、ヘキセニルアセテートのエステル結合をエーテル結合に変更すると誘導活性は完全に消失した。一方、エステルの酸部分の構造を大きく変化しても誘導活性に大きな変化が認められなかった。植物組織ではカルボキシエステラーゼ活性が高く、取り込んだエステルは直ちに加水分解される。そうしたことを考慮に入れると、ヘキセノールが鍵構造と考えられた。ヘキセノールの二重結合は必須であるがその幾何はZ体でもE体でも同程度の遺伝子誘導活性を示した。また、ヘキセノールのα側とω側のメチレン連鎖が3であることが必須で、3より短くても長くても誘導活性が消失した。こうした解析結果から3-ヘキセノールが究極的に認識されている構造であることを確定した。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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