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2019 年度 実績報告書

アミノグリコシド系抗生物質の生合成酵素構造解析を基盤とする新規物質生産系の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 19H02895
研究機関東京工業大学

研究代表者

工藤 史貴  東京工業大学, 理学院, 准教授 (00361783)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワードアミノグリコシド系抗生物質 / 生合成 / 酵素 / 構造機能解析
研究実績の概要

本研究は、カナマイシンやストレプトマイシンなどのアミノグリコシド系抗生物質生合成マシナリーの人為的改変による新規抗生物質創製を念頭におき、生合成に関わる酵素の構造機能解析を通じた生合成基盤を構築することを目的としている。2019年度は、これまでの研究基盤があるカナマイシン生合成とパクタマイシン生合成を中心に研究を進めた。
カナマイシン生合成に関わる酵素については、カナマイシンに特徴的なカノサミン部位のアミノ基導入に関わる脱水素酵素KanD2とアミノ基転移酵素KanS2の機能を明らかにした。KanD2については結晶構造解析にも成功し、水素結合だけではなく、CH-π相互作用により擬似三糖を基質として選択的に認識することが明らかとなった。さらにカナマイシン生合成に関わる他の酵素に関しても結晶化を検討し、基質認識機構と反応機構の解明に向けた研究を進めている。
パクタマイシン生合成に関しては、アデニル化酵素PctUが選択的に3-アミノ安息香酸を認識してアシルキャリアープロテインPctKにロードすることを明らかにした。また生成した3-アミノベンゾイル-PctKは、糖転移酵素PctLにより効率よく配糖化されることが明らかとなった。さらに配糖化された化合物を基質とする酵素の機能解析を進めている。
他のアミノグリコシド系抗生物質の生合成酵素の構造機能解析を進めるために人工遺伝子をデザインして研究に着手した。
バクテリオホパンテトロール サイクリトール エーテルの生合成に関しては、アミノグリコシド系抗生物質の生合成との類似性もあることから研究を進めており、トリテルペンであるジプロプテンとS-アデノシル-L-メチオニン(SAM)から生じる5’-デオキシアデノシルラジカルとの炭素-炭素結合形成反応を触媒するラジカルSAM酵素HpnHの酵素活性を明らかにすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

アミノグリコシド系抗生物質の代表的な存在であるカナマイシンの生合成酵素の構造機能解析を進め、カノサミン部位のアミノ基導入に関わる脱水素酵素KanD2の結晶構造を解明することができたので、まずは順調に研究を進められていると考えている。アミノグリコシド系抗生物質の生合成酵素を含め、オリゴ糖を認識する酵素は、CH-π相互作用を多く利用して選択的に基質を認識する可能性があることが分かってきたと考えている。カナマイシン生合成に関わる他の酵素に関しても結晶化に成功しており、構造機能解明に向けた研究を進めている。
研究成果発表には至っていないものの、幾つかの酵素についても機能解析を進めており、初年度としては順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

2020年もアミノグリコシド系抗生物質の生合成に関わる酵素の構造機能解析を継続的に進める。
まず2019年度に引き続き、カナマイシン生合成に関わる生合成酵素の構造機能解析を進める。カナマイシンA生合成の最終段階に関わる2-オキソグルタル酸依存非ヘム鉄酸化酵素KanJの構造機能解析を達成する。また、6'位のアミノ基導入のタイミングを司る脱水素酵素KanQの基質特異性を解明する。
他のアミノグリコシド系抗生物質の生合成酵素に関しては、既に機能解明済みのネオマイシンとブチロシン生合成酵素を中心に構造解析を進める。ゲンタミシンやイスタマイシンに見られる特徴的なジデオキシ化部位の構築に関わると推定している酵素の機能解析も進める。
パクタマイシン生合成については、サイクリトール部位の生成機構の解明に向けて研究を進める。バクテリオホパンテトロール サイクリトール エーテルの生合成に関しても、アミノグリコシド系抗生物質の生合成と関連する部分があるので酵素機能解析を進める。

備考

江口・工藤研ホームページ
http://www.chemistry.titech.ac.jp/~eguchi/

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件)

  • [雑誌論文] Biochemical and Structural Analysis of a Dehydrogenase, KanD2, and an Aminotransferase, KanS2, That Are Responsible for the Construction of the Kanosamine Moiety in Kanamycin Biosynthesis2020

    • 著者名/発表者名
      Kudo Fumitaka、Kitayama Yukinobu、Miyanaga Akimasa、Hirayama Akane、Eguchi Tadashi
    • 雑誌名

      Biochemistry

      巻: 59 ページ: 1470~1473

    • DOI

      10.1021/acs.biochem.0c00204

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization of radical SAM adenosylhopane synthase, HpnH, which catalyzes the 5'-deoxyadenosyl radical addition to diploptene in the biosynthesis of C35 bacteriohopanepolyols2020

    • 著者名/発表者名
      Shusuke Sato, Fumitaka Kudo, Michel Rohmer, Tadashi Eguchi
    • 雑誌名

      Angew. Chem. Int. Ed.

      巻: 59 ページ: 237~241

    • DOI

      10.1002/anie.201911584

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Stereochemistry in the Reaction of the myo-Inositol Phosphate Synthase Ortholog Ari2 during Aristeromycin Biosynthesis2019

    • 著者名/発表者名
      Fumitaka Kudo, Takeshi Tsunoda, Kaito Yamaguchi, Akimasa Miyanaga, Tadashi Eguchi
    • 雑誌名

      Biochemistry

      巻: 58 ページ: 5112~5116

    • DOI

      10.1021/acs.biochem.9b00981

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Functional characterization of 3-aminobenzoic acid adenylation enzyme PctU and UDP-N-acetyl-D-glucosamine: 3-Aminobenzoyl-ACP glycosyltransferase PctL in pactamycin biosynthesis2019

    • 著者名/発表者名
      Fumitaka Kudo, Jiahao Zhang, Shusuke Sato, Akane Hirayama, Tadashi Eguchi
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: 20 ページ: 2458~2462

    • DOI

      10.1002/cbic.201900239

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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