アミノグリコシド系抗生物質は、結核菌に有効なストレプトマイシンや広範な抗菌スペクトルを示すカナマイシンなど、歴史的に人類の健康増進に大きく貢献してきた。腎毒性や聴覚神経毒性を示すなどの問題点を抱えた抗生物質であるが、半合成化合物も開発されており、今なお重要性の高い抗生物質群である。アミノグリコシド系抗生物質は放線菌などの微生物が生産することから、その合成機構を解明して人為的な改変を施すことで、有用性の高い物質を生産できる可能性がある。本研究では、代表格であるカナマイシンの合成機構について、その合成を司る酵素の機能と構造情報を精密に解析して、従来提唱されていた機構を訂正することができた。
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