研究課題/領域番号 |
19H02899
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
甲斐 建次 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (40508404)
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研究分担者 |
大西 浩平 高知大学, 教育研究部総合科学系生命環境医学部門, 教授 (50211800)
三浦 夏子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (80724559)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | クオラムセンシング / 青枯病菌 / 生合成 |
研究実績の概要 |
世界で猛威を振るう強害植物病菌Ralstonia solanacearum(青枯病菌)は、それぞれの地域で独自の種分化を遂げた多様な菌株が存在する。本研究は、青枯病菌の病原性を完全に制御しているクオラムセンシング(QS)機構における重要過大に挑戦している。1つ目は、QSシグナル分子である3-OH MAMEと3-OH PAMEが菌株によって作り分けられる生合成機構の解明である。2つ目は、菌体外のQSシグナル分子が最高濃度に達した後に、急速に分解される代謝機構の解明である。本課題では、これまでの研究で生じた謎を解き、青枯病菌QS機構におけるシグナル分子の選択性と代謝機構、加えて、それらの病原性制御における重要性を明らかにし、青枯病菌QS機構の化学制御法開発に向けた基礎的知見の集積を目指している。初年度は、3-OH MAMEと3-OH PAMEの作り分けに関わる生化学的な機構を詳細に調べた。その結果、基質の立体特異的な供給と合成酵素PhcBの基質に対する明確な鎖長特異性の組み合わせによって、青枯病菌各菌株におけるQSシグナル分子の鎖長・立体特異的な産生が達成されていることをはじめて明らかにした。また、いくつかの代表的な菌株における3-OH MAMEと3-OH PAMEに対する応答性の差を、生化学的アッセイとRNA-Seqによる発現解析アッセイの両方で検証した。その結果、自身が作るQSシグナル分子のタイプを特異的に認識・応答することをはじめて見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、(1)青枯病菌QSシグナル分子の生合成と代謝を化学・生化学・分子生物学的に精査する、(2)本機構で鍵となるQSシグナル分子の細胞内外における動態と、関与する生化学因子を解明する、(3)これらの知見を基に、開発済みQS阻害剤に代謝抵抗性を付与する、3項目が達成目標である。これらの50%近くを達成しつつあり、その成果を論文としても報告できているため、おおむね順調にしんていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
QSシグナル分子の生合成機構については詳細な解析が済んだため、引き続き代謝機構についての解析を進める。また、QSシグナル分子の分解酵素が明らかにできれば、それらの生化学的な解析を進める。
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