研究課題
2型糖尿病や脂肪肝症状の度合いと抹消血中の12α水酸化胆汁酸(12αOH)濃度の間には正の相関が見出されている。一方、ラットにおける高脂肪食摂取等の摂取エネルギー過多では12αOHが選択的に増加することを見出した。我々は、12αOHの一次胆汁酸であるコール酸(CA)をラット飼料に添加する量を調節することで、高脂肪食摂取時の胆汁酸代謝を模倣できる負荷量を見出し、この条件で十数週間に渡り飼育すると、肝脂質蓄積などの症状が引き起こされることを明らかにした。この肝脂質蓄積状態ではリポ多糖を用いた急性肝炎症状が著しく悪化した。さらに、メタボリックシンドロームで観察される諸症状、すなわち「未病」状態の一形態と考えられる多様な症状が同時に現れるという特徴がある。本研究では、CAで誘導される肝脂質蓄積において、フルクトース代謝に関わるポリオール経路の阻害が影響を及ぼさないことを確認した。また、このCA誘導性の肝脂質蓄積において、小胞体ストレスの誘導はほとんど見られないことを確認した。したがって、このCA誘導性肝脂質蓄積は炎症だけでなく、小胞体ストレスや繊維化も生じていない可能性が大きいものと推察され、肝臓への脂質蓄積のみを誘導するモデル系としての利用が期待される。また、マウスでは同程度のCA負荷で肝脂質蓄積が誘導されないが、マウスではラットに比べて極めて多量の飼料を摂取しており、高脂肪食摂取マウスではラットに比べて糞便中へコレステロールを直接排泄する比率が高いことがその応答の違いに関わることを見出した。一方、高脂肪食を摂取したC57BL/6Jマウスの腸肝循環関連組織や糞における12αOH/非12αOHは肝臓での脂質蓄積と有意な正の相関を示し、腸肝循環や消化管での12αOHの相対濃度は肝臓脂質蓄積を良好に反映するバイオマーカーとして有用であることが示された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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