研究課題/領域番号 |
19H02910
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 剛 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10550311)
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研究分担者 |
高橋 春弥 京都大学, 農学研究科, 助教 (30750369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肥満 / コレステロール代謝 / 脂肪組織 |
研究実績の概要 |
脂肪細胞におけるコレステロール代謝経路が脂肪組織機能調節において果たす役割を明らかにするため、2019年度は以下のような実験・検討を行なった。 コレステロール生合成経路の律速酵素であるHMGCRを、時期特異的に脂肪細胞において欠損させる遺伝子組換えマウスの樹立に着手した。具体的には、脂肪細胞特異的な発現を示すAdipoq遺伝子プロモーター制御下にタモキシフェン誘導型Cre 組換酵素を発現する(Adipoq-Cre/ERT2) マウスを導入し、申請者らが独自に作成したCre 組換酵素存在下でHMGCR欠損可能な(HMGCR (flox/flox)) マウスと交配させ、脂肪組織において時期特異的にHMGCRを欠損可能な(HMGCR iAKO) マウスを作成した。さらに、本マウスに対するタモキシフェンの投与条件について、投与経路・投与溶媒・投与期間等を検討し、効果的な投与条件を決定した。 また、薬品や機能性食品への応用の可能性について検討するため、外因性投与化合物による脂肪組織のコレステロール生合成経路の活性調節が生体の代謝調節においてどのような機能を発揮しうるか検討を行った。具体的には、HMGCR阻害剤であるスタチン系薬剤を肥満モデルマウスに経口投与し、その表現系について検証を行った。その結果、スタチン系薬剤の投与は肥満モデルマウスの耐糖能異常やインスリン感受性に対してほとんど影響を与えなかった。その要因について種々の検討を行ったところ、投与したスタチン系薬が脂肪組織においてほとんど検出されないことが一因として考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コレステロール生合成経路の律速酵素であるHMGCRを、時期特異的に脂肪細胞において欠損可能な遺伝子組換えマウスの樹立出来たことから、今後本マウスを用いた解析の進展が期待されるため。 また、肥満モデルマウスに対するスタチン系薬経口投与時の薬品の体内分布について概要を把握できたことから、今後それを指標に投与方法を検討していくことに目途がたったため。
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今後の研究の推進方策 |
樹立を完了した時期特異的に脂肪細胞において欠損させる遺伝子組換えマウスを用いて、種々の条件において脂肪細胞特異的にHMGCRを欠損させることにより、脂肪細胞におけるHMGCRの生理的役割について明らかにしていく予定である。 また、スタチン系薬の経口投与時には、脂肪組織へのスタチン系薬の移行がほとんど認められないことが明らかになったことから、脂肪組織にスタチン系薬が移行するような投与 条件について詳細に検討し、条件決定後に肥満に伴う代謝異常等に与える影響を検討する予定である。
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