研究実績の概要 |
今年度は、さらに食中毒細菌であるウェルシュ菌特異的なファージを単離し、その特性を調べ、食品におけるウェルシュ菌制御について検討した。これらのウェルシュ菌特異的ファージCPQ3, CPQ4, CPQ7, CPQ8, CPQ9, CPQ10のゲノムDNA配列は、GenBank にそれぞれ, MZ401005, MZ401006, MZ401007, OL547738, MZ401008,MZ401009のaccession numberで登録している。 さらに、魚や肉の腐敗で問題となるPseudomonas属細菌に特異的な宿主域の広い溶菌ファージの食品からの分離とその特性解析も行った。大腸菌で親株に比べてファージ感受性の高い1遺伝子欠損株10株のうち、priA遺伝子欠損の影響について検討するため、遺伝子産物PriAの機能阻害の可能性が報告されている物質(クロラムフェニコール、カナマイシン、ケンフェロール)とファージとの併用が大腸菌のファージ感受性および耐性化に与える影響を調べた。その結果、単独では抗菌作用を示さない濃度のクロラムフェニコール、カナマイシン、ケンフェロールとファージとの併用は大腸菌のファージ感受性を高め、ファージ耐性菌の増殖を抑制する事が示唆された。特にクロラムフェニコール処理では、ファージ添加後3から9時間目まで生菌数が検出限界未満となり、ファージ単独処理と比較して高いファージ感受性を示し、耐性菌増殖抑制効果も認められた。昨年度、大腸菌で検討してファージ耐性菌の生育を抑制することが示されたミリセチン処理は、サルモネラにおいても同様の効果を示した。
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