研究課題/領域番号 |
19H02913
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
原田 直樹 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00529141)
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研究分担者 |
井澤 武史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (20580369)
白木 伸明 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70448520)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膵β細胞 / インスリン / 2型糖尿病 / ストレプトゾトシン / Redd2/Ddit4l / 咀嚼 / 食品成分 |
研究実績の概要 |
膵β細胞はインスリンを産生して分泌することで糖代謝の恒常性維持に貢献する。本研究では、膵β細胞機能が低下するメカニズムの解明と膵β細胞機能を向上させる方法の確立を目指して研究を行っている。特に、前者については性ホルモンやストレス応答遺伝子であるRedd2と分泌されたインスリンのオートクライン・パラクライン作用に着目し、後者については咀嚼や食品成分に注目して解析を行っている。 INS-1β細胞株でのRedd2プロモーターアッセイの結果、ストレプトゾトシン(STZ)を用いた酸化ストレスによるRedd2発現亢進には、p53とNrf2が関与することが明らかになった。実際に、STZによってINS-1細胞のp53の活性化(リン酸化レベルにより評価)やNrf2の活性化(核内量により評価)が増加することを明らかにした。インスリンはRedd2の発現を低下させ、酸化ストレスによる細胞死を抑制することを見出した。Redd2全身ノックアウト(KO)マウスを用いてRedd2の耐糖能への影響について、高脂肪食摂取下ではRedd2ノックアウトにより耐糖能が改善されるという、昨年度の結果について再現性が得られた。Cre-loxPシステムを用いて、マウスインスリン1プロモーター/CreとRedd2-flox/floxをもつβ細胞特異的Redd2-KO(βRedd2-KO)を作出した。このマウスでは視床下部などではKOが見られず、β細胞特異的にRedd2がKOされていることを確認した。STZを4日間連続投与することでβ細胞死を誘導してβ細胞機能が低下することで糖尿病を発症させる実験系において、雌雄いずれにおいてもβRedd2-KOは糖負荷試験時の血糖値の上昇が低下することが明らかになった。 咀嚼の影響を検討するために、硬度固形食とこれを潰した粉末食をマウスに与えたところ、甘味料を飲水摂取させた時には硬度固形食を与えたマウスの膵β細胞機能が亢進して、糖負荷時の血糖変動を小さくすることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病動物モデルにおいて、β細胞におけるRedd2が糖尿病発症に寄与することを明らかにすることができたため。また、咀嚼がβ細胞機能を亢進させる可能性をもつという結果が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
全身およびβ細胞特異的Redd2-KOマウスを用いて、Redd2のβ細胞量やインスリン分泌への影響を中心に検討する。
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