研究課題/領域番号 |
19H02914
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20187834)
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研究分担者 |
細野 崇 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80445741)
増澤・尾崎 依 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (70614717)
三浦 徳 日本大学, 生物資源科学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (90826281)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 動脈硬化 / 血液凝固 / トリメチルアミンオキシド |
研究実績の概要 |
1.血漿トリメチルアミン(TMA)、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)濃度測定法の確立と機能性食品成分が高脂肪食誘導肥満マウスの病態、血漿TMA, TMAOに及ぼす影響:血漿TMA, TMAO濃度の測定法は、液体クロマトグラフィータンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用いて確立した。本研究で確立した方法によりマウス血漿中のTMA,TMAOの濃度を高感度で測定することに成功した(関、三浦担当)。また、C57BL/6マウスにTMAOを添加した飲料水を給与し、血漿中へのTMAOの移行など、基礎的な動態を明らかにすることができた (関、細野担当)。 2.血漿TMAO濃度に影響を及ぼした機能性食品成分投与マウスの血液凝固機能の解析:TMAOを添加した飲料水を給与したマウスより洗浄血小板を調製し、いくつかの惹起物質についてヘマトレーサー、FACSを用いて凝集能を測定した。また、洗浄血小板に直接TMAOを添加してADPにより誘導される凝集を測定したところTMAOは顕著な影響は及ぼさなかった (関、細野担当)。 3.TMAOが凝固因子(TF), TF経路阻害因子(TFPI)の発現に及ぼす影響の解析:動脈硬化において凝固系を惹起する血液凝固第Ⅲ因子(組織因子,TF)及びその調節因子であるTF経路阻害因子(TFPI)の発現に及ぼすTMAOの影響を検討する目的でヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を用いた測定系を確立した。その結果、TMAOは培養血管内皮細胞のTFやTFPIの発現にはほとんど影響を及ぼさなかった。さらに、培養マクロファージ細胞株、骨髄由来培養マクロファージの培養系を確立し、TMAOが動脈硬化層での炎症や血液凝固・線溶系因子の発現に及ぼす影響についてさらに検討している(関、増澤担当)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画された4つの試験研究にはすべて着手し、一定の成果を得ることができた。トリメチルアミンN-オキシドの測定法などは迅速に確立することができ、機能性食品成分の影響などを効率よく検討することが可能になった点は高く評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
マウスを用いた血小板機能に関する実験では、高度な技術が必要とされる。これらの実験においても精度の高いデータを提供できるよう様々な角度から強力に研究を進める。これまでの研究において、他の研究グループの成績とは異なる点もいくつか見いだされた。これらの点についてもさらに追究し、国民の健康増進に対して必要とされる、食と健康に関する基礎的な情報を提供していく。
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