研究課題
1)低タンパク質食摂取が肝臓への糖取り込み増加を介して肝臓脂肪を増加させる可能性の検討:本研究では、タンパク質欠乏が筋肉と肝臓との臓器間相互作用を介して肝臓脂肪増加させる可能性を検討している。タンパク質欠乏時にはIGF-Iによる筋肉のタンパク質代謝活性が低下して余剰のエネルギーが生じ、これが肝臓に流入する可能性を想定したが、IGF-I投与によりIGF-I活性を高く維持した状態でも肝臓脂肪増加が生じ、この仮説に関しては否定的な結果が得られた。そこで次に余剰のエネルギーが糖の取り込みの形で筋肉から肝臓に移行する可能性を想定し、タンパク質欠乏時の筋肉への糖取り込み活性を検討した。対照食あるいは低タンパク質食を給餌したマウスにグルコースアナログである2-デオキシグルコースを腹腔内投与して、臓器への糖取り込みを解析した。その結果、タンパク質欠乏時には筋肉に取り込まれるグルコース量が低下し、肝臓へのグルコース流入量が相対的に増加する可能性を示した。2)タンパク質欠乏時の肝臓VLDLR発現増加機構の解析:肝臓VLDLR発現はFGF21の制御下にあるとの報告があることから、タンパク質欠乏によるVLDLR発現増加が血中FGF21増加を介して生じる可能性を、FGF21ノックアウトマウスを用いて解析した。その結果、FGF21ノックアウトマウスでもタンパク質欠乏による肝臓VLDLR発現増加が観察され、VLDLR発現増加はFGF21に依存しない機構で生じることを示した。さらに、VLDLR発現に関与することが報告されている転写因子ATF4の寄与について、培養肝細胞H4IIEを用いて解析を行った。アミノ酸欠乏培地でのVLDLR mRNA発現増加がATF4 siRNAで抑制されるかどうかの解析を試みたが、VLDLR mRNAの発現量が低いため検出が難しく、目的の結果を得ることができなかった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cells
巻: 11 ページ: 1523 1-13
10.3390/cells11091523