研究課題
基盤研究(B)
真核生物のmRNAの5'非翻訳領域に存在する上流ORFと呼ばれる配列がタンパク質の発現制御に関与する場合がある。本研究では、植物のある遺伝子の上流ORFが翻訳された際に翻訳複合体がマグネシウム濃度を感知してタンパク質発現量を調節し、細胞内マグネシウム濃度の恒常性維持に関与することを見出した。また、植物のポリアミン合成酵素遺伝子では、通常とは異なる開始コドン(非AUG開始コドン)で始まる上流ORFがポリアミンに応答したフィードバック発現制御に関与することを見出した。
分子生物学
本研究により、マグネシウムやポリアミンの細胞内濃度を感知して恒常性を維持するための新たな機構が発見された。マグネシウムは植物の生育に必要な多量要素の一つであり、ポリアミンは植物の環境ストレス耐性に関与することが知られている。したがって、本研究の発見は植物生理学や分子生物学の分野に学術的なインパクトを与えるだけでなく、将来的には栄養欠乏環境やストレス環境における作物の生育改善などの応用につながることが期待できる。