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2020 年度 実績報告書

植物トリテルペノイド生合成における糖転移酵素の機能解明と分子デザイン

研究課題

研究課題/領域番号 19H02921
研究機関大阪大学

研究代表者

村中 俊哉  大阪大学, 工学研究科, 教授 (60342862)

研究分担者 石本 政男  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 次世代作物開発研究センター, 研究領域長 (20355134)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード合成生物学 / トリテルペノイド / グリチルリチン / 糖転移酵素 / ダイズ / 代謝工学 / 出芽酵母
研究実績の概要

昨年までの研究により、マメ科植物3種(カンゾウ、ダイズ、ミヤコグサ)の遺伝子共発現解析により、グリチルレチン酸にグルクロン酸を転移する糖転移酵素として、これまで知られていたUDP依存型糖転移酵素(UGT)とは、全く異なるタイプの糖転移酵素Cslが関わることが見出された。そこで今年度は、Cslの糖ドナーならびに糖アクセプターについての特性をin vitro系を用いて詳細に検討した。UGDとCslのみを発現する酵母の液体培養系にさまざまな基質を添加した結果、Cslのグルクロン酸転移活性はβ-アミリンを基本骨格とするオレアナン型トリテルペノイドに特異的であることがわかった。
系統樹解析の結果、Cslは10種の異なるファミリーに分類された。そのうち、グルクロン酸転移活性が認められた酵素はいずれもCslMファミリーに属しており、さらに、ダイズでは4種のCslMサブファミリーメンバーを有することから、これらについても酵素活性試験を行った。その結果、先に同定したグルクロン酸転移酵素と高い相同性を示す2種は同様の糖転移活性を有するのに対して、相同性が比較的低かった残りの2種に関してはグルクロン酸転移活性が見られなかった。
以上より、活性が見られたCsl酵素は既存のCslMサブファミリーから機能的に分化した新しい酵素であると考え、CSyGT(Cellulose synthase derived glycosyltransferase)と命名した。
さらに、CSyGTは、小胞体に局在していること、出芽酵母で、グリチルリチン生合成に関わる計7種の植物由来遺伝子を導入することにより、グリチルリチンまでの生合成系が再構築できることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

セルロース合成酵素に類似した酵素群(Csl)のごく一部のクレードに属する酵素遺伝子(CysGT)、オレアナン型トリテルペノイドに特異的にグルクロン酸を転移することを発見した。さらにこれまで知られていた糖転移酵素とは異なり、小胞体に局在していること、出芽酵母で、グリチルリチン生合成に関わる計7種の植物由来遺伝子を導入することにより、グリチルリチンまでの生合成系が再構築できることを見出すなど、画期的な成果をあげることができた。

今後の研究の推進方策

Cslのうち、CysGTのみがオレアナン型トリテルペノイドに特異的にグルクロン酸を転移する糖転移酵素活性を有することになったのか、細胞内において、他の酵素群と相互作用を生じないか?など、本糖転移酵素のさらなる機能解明を行うとともに、高効率な触媒活性を有する分子デザインを行う。

備考

2020年度の研究成果を記載している。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [国際共同研究] エクアドル IKIAM(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      エクアドル IKIAM
  • [国際共同研究] ITB(インドネシア)

    • 国名
      インドネシア
    • 外国機関名
      ITB
  • [雑誌論文] Allylic Hydroxylation Activity Is a Source of Saponin Chemodiversity in the Genus Glycyrrhiza2021

    • 著者名/発表者名
      Fanani Much Z、Sawai Satoru、Seki Hikaru、Ishimori Masato、Ohyama Kiyoshi、Fukushima Ery O、Sudo Hiroshi、Saito Kazuki、Muranaka Toshiya
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 2 ページ: 262-271

    • DOI

      10.1093/pcp/pcaa173

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Insights into the diversification of subclade IVa bHLH transcription factors in Fabaceae2021

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Hayato、Seki Hikaru、Muranaka Toshiya
    • 雑誌名

      BMC Plant Biology

      巻: 21 ページ: 109

    • DOI

      10.1186/s12870-021-02887-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A cellulose synthase-derived enzyme catalyses 3-O-glucuronosylation in saponin biosynthesis2020

    • 著者名/発表者名
      Chung Soo Yeon、Seki Hikaru、Fujisawa Yukiko、Shimoda Yoshikazu、Hiraga Susumu、Nomura Yuhta、Saito Kazuki、Ishimoto Masao、Muranaka Toshiya
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 11 ページ: art. no. 5664

    • DOI

      10.1038/s41467-020-19399-0

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Production of the bioactive plant‐derived triterpenoid morolic acid in engineered Saccharomyces cerevisiae2020

    • 著者名/発表者名
      Srisawat Pisanee、Yasumoto Shuhei、Fukushima Ery O.、Robertlee Jekson、Seki Hikaru、Muranaka Toshiya
    • 雑誌名

      Biotechnology and Bioengineering

      巻: 117 ページ: 2198~2208

    • DOI

      10.1002/bit.27357

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ダイズサポニンの生合成と機能 (特集 ダイズ成分の機能と育種)2020

    • 著者名/発表者名
      石本政男、塚本知玄
    • 雑誌名

      アグリバイオ

      巻: 4 ページ: 1049-1053

    • 査読あり
  • [学会発表] 甘草はどのようにして甘いサポニンの生産能を獲得したのか?2021

    • 著者名/発表者名
      村中俊哉、關光
    • 学会等名
      第62回日本植物生理学会年会
  • [学会発表] 共発現解析によるサポニンの生合成に関わる新規配糖化酵素の発見2021

    • 著者名/発表者名
      石本政男, 藤澤由紀子, Soo Yeon Chung, 關 光, 下田 宜司, 平賀 勧, 野村勇太, 斉藤和季, 村中俊哉
    • 学会等名
      日本育種学会第139会講演会
  • [学会発表] Redesign of triterpenoid biosynthetic pathway in plants by genome editing2020

    • 著者名/発表者名
      Muranaka T
    • 学会等名
      2020 International Conference of the Korean Society of Plant Biologists
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Plant Genome Engineering to Minimize Anti-Nutritional Metabolites2020

    • 著者名/発表者名
      Muranaka T
    • 学会等名
      Institute of Food Technologists
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] マメ科におけるサブクレードIVa bHLH転写因子の多様化への洞察2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木隼人、關光、村中俊哉
    • 学会等名
      第84回日本植物学会年会
  • [学会発表] ミヤコグサのベツリン酸生合成を制御するbHLH型転写因子の同定2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木隼人、高橋宏和、福島エリオデット、關光、中園幹夫、村中俊哉
    • 学会等名
      第30回イソプレノイド研究会
  • [学会発表] トリテルペノイドのダイズ二次通気組織における生理機能の解明2020

    • 著者名/発表者名
      安保知里、牛来智香、柳川麻子、加賀秋人、鈴木隼人、關光、村中俊哉、中園幹夫、高橋宏和
    • 学会等名
      第27回育種学会中部地区談話会
  • [学会発表] ダイズにおけるルペオール合成酵素の機能解析2020

    • 著者名/発表者名
      安保知里、牛来智香、柳川麻子、鈴木隼人、富崎由佳理、關光、加賀秋人、村中俊哉、中園幹夫、高橋宏和
    • 学会等名
      第138回日本育種学会秋季大会
  • [学会発表] トリテルペノイドサポニン生合成におけるセルロースシンターゼライクの機能解析2020

    • 著者名/発表者名
      Soo Yeon Chung, 關光、村中俊哉
    • 学会等名
      第30回 イソプレノイド研究会
  • [学会発表] A cellulose synthase-derived enzyme catalyses 3-O-glucuronosylation in saponin biosynthesis2020

    • 著者名/発表者名
      Soo Yeon Chung, Hikaru Seki, Toshiya Muranaka
    • 学会等名
      日本植物生理学会大阪大会サテライトシンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 大阪大学大学院工学研究科 村中研究室

    • URL

      http://www.bio.eng.osaka-u.ac.jp/pl/index.html

  • [産業財産権] グルクロン酸転移酵素、それをコードする遺伝子及びその利用方法2020

    • 発明者名
      石本政男、平賀勧、佐藤由紀子、村中俊哉、關光、チョンスヨン
    • 権利者名
      石本政男、平賀勧、佐藤由紀子、村中俊哉、關光、チョンスヨン
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2020/39175
    • 外国

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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