研究実績の概要 |
本年度は、飢餓状態におけるリボソーム生合成の制御に関する研究を論文をまとめた。飢餓状態ではリボソームの生合成に関わる因子群(ribi)の発現が抑制される。ribiの抑制に関わる転写因子としてDot6/Tod6が知られている。Dot6/Tod6は富栄養状態においてはTORC1の下流でリン酸化により不活性状態にあるが、飢餓状態になるとTORC1の不活化に伴い脱リン酸化状態となり活性化される。活性化されたDot6/Tod6はribiの発現を抑制することで、リボソーム生合成を抑制する。しかし我々は、飢餓状態においてDot6/Tod6がユビキチン・プロテアソーム系を介して速やかに分解されることを見出した。解析を進めたところ、Dot6/Tod6の分解は、リボソーム生合成の抑制を緩和し、リボソーム量を微調整する機構(ファインチューニング機構)として機能していると考えられた(Kusama et al., iScience 2022)。その他、小胞体ユビキチンリガーゼHrd1の変異体を酵母遺伝学的スクリーニングにより単離した(Nakatsukasa et al., Current Genetics, 2022)。小胞体品質管理機構について総説を執筆した(Nakatsukasa, International Journal of Molecular Sciences, 2021)。
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