研究課題/領域番号 |
19H02932
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
刑部 敬史 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (70450335)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / DNA二重鎖切断修復 / NHEJ / ジェミニウィルス / トマト |
研究実績の概要 |
ゲノム編集技術による変異導入では「モザイク性変異」は、体細胞の標的ゲノム配列上に様々な変異配列タイプが不均一に混在する変異のことである。このため目的とする変異のみを持つ個体を得るためには数世代の交配と選抜を行なう必要があり、モザイク性変異を回避した一世代での変異固定を行う方法の確立は、迅速な分子育種技術を確立する上で必須の技術である。我々は、複数のgRNAを発現させるマルチプレックスCRISPR/Cas9システム(Multiplex gRNAシステム)を用い、Cas9遺伝子の発現に用いるプロモーターの種類によって、モザイク性が低く、正確な非相同末端結合(NHEJ)修復による変異導入が可能であることを見出した。この「正確な非相同末端結合修復」による変異導入様式のメカニズムとその制御について明らかにするために、本研究の供試材料であるトマトにおけるNHEJ因子である、Ku70およびKu80を見出し、その遺伝子ノックアウト株を作製をCRISPR/Cas9 gRNAの設計を進めた。設計したgRNAを用いたトマトのゲノム編集では、変異導入は認められたが、変異個体を得ることができなかった。NHEJ因子の欠損による生育阻害の可能性があり、研究戦略を変更し、NHEJとHRの分岐に関わるDNA修復因子CtIPに注目し、CtIPの過剰発現を行うことで、NHEJを抑制する実験系の構築を進めることとした。CtIPの過剰発現については、Cas9との融合遺伝子を作製し、Cas9によるDNA切断部位でのCtIPを作用させる実験系の構築を行った。 さらに、構築したCas9-CtIP融合遺伝子を用いたゲノム編集ベクターは、当研究室で構築したジェミニウィルス型CRISPR/Cas9ベクターへと改変を進め、誘導型RepA遺伝子発現カセットによる、外来遺伝子フリーとなるゲノム編集ベクター系の構築を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在までのところ、当初の研究計画において想定されていなかったゲノム編集植物の生育阻害などの問題が生じ、計画にやや遅れがあるが、代替案を速やかに立案し、実験系の構築ができたため、最終年度において最終目標の達成を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画に必要な遺伝子ノックアウト系統の作出において生育阻害による問題が生じ、計画通りに進められなかった。そこで、当初計画に替わる、他DNA修復因子の過剰発現を計画し、実施のために必要なベクター系を構築し、ゲノム編集植物の作出を進めている。今後、「正確な非相同末端結合修復」の変異解析を進めていく予定である。またもう一つの研究課題である半数体誘導トマトの作出も同様に進めて行く。
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