研究分担者 |
田浦 悟 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (80216598)
志水 勝好 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (40261771)
清水 圭一 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30305164)
岡本 繁久 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30211808)
内海 俊樹 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (20193881)
鈴木 章弘 佐賀大学, 農学部, 教授 (50305108)
穴井 豊昭 佐賀大学, 農学部, 教授 (70261774)
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研究実績の概要 |
白葉枯病はイネの最重要病害の一つである.インド型イネ品種IR24はフィリピンの白葉枯病菌6レースと日本の6レースすべてに罹病性であるが,人為突然変異処理によりそれらすべてに抵抗性を示す系統XM5, XM6, XM14が得られている.各系統は劣性の1抵抗性遺伝子を持ち,それぞれxa19, xa20, xa42と命名されている.2019年度の実績を以下に示す. (1)IR24×XM14のF2集団ではxa42遺伝子のSNPを検出するCAPSマーカーのXM14ホモ接合型個体が白葉枯病抵抗性,高パルミチン酸,短稈,擬似病斑,低SPAD値と符合した. (2)xa19, xa20の連鎖分析を進めた.XM5, XM6の次世代シークエンサーによるゲノム解析により,連鎖分析で絞り込んだxa19, xa20の染色体領域にSNPが存在することを確認した. (3)2週間間隔で播種,移植して同時期に様々な生育ステージがある状態でIR24, XM5, XM6, XM14に同時に白葉枯病菌を接種し,生育ステージと白葉枯病抵抗性の関連について調査した.生育初期では抵抗性遺伝子をもつXM5, XM6, XM14も病斑が進展した.白葉枯病菌接種直前,接種後1日目,2日目のXM5, XM6, XM14,IR24の葉からRNAを抽出し,RNA-seqを外部委託した.現在,データ解析中である. (4)IR24とXM14の葉ディスクをDABで染色し、H2O2量を比較した。XM14の葉ディスクはIR24よりも濃く染色された。白葉枯病菌を接種すると、どちらの系統も未接種と比較してやや濃く染色されたが、IR24とXM14を比較すると、XM14の方がより濃く染色された。これらのことから、白葉枯病菌の接種の有無とは関係なく、葉組織内のH2O2量は、XM14の方が多いと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)XM5, XM6に見出されたSNPに基づき,xa19, xa20, xa42遺伝子の日本型品種台中65号背景の準同質遺伝子系統,長稈遺伝子と3抵抗性遺伝子を組み合わせたIR24背景の準同質遺伝子系統作りを進める. (2)xa19, xa20の高密度連鎖解析を進める (3)xa42の形質転換体作成を進める. (4)葉の脂肪酸組成と圃場抵抗性の関係:圃場抵抗性をもつとされる品種がXM14のように特殊な脂肪酸組成をもつかどうかを明らかにする. また,トヨニシキ,IR24の抵抗性遺伝子同質遺伝子系統を用いて,同様の分析を行う.
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