研究課題/領域番号 |
19H02934
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (10305162)
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研究分担者 |
内海 俊樹 鹿児島大学, 理工学域理学系, 教授 (20193881)
岡本 繁久 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30211808)
清水 圭一 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (30305164)
志水 勝好 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (40261771)
鈴木 章弘 佐賀大学, 農学部, 教授 (50305108)
穴井 豊昭 九州大学, 農学研究院, 教授 (70261774)
田浦 悟 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (80216598)
村中 智明 鹿児島大学, 農学部, 特別研究員PD (50761938)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 抵抗性遺伝子 |
研究実績の概要 |
白葉枯病はイネの最重要病害の一つである.インド型イネ品種IR24はフィリピンの白葉枯病菌6レースと日本の6レースすべてに罹病性であるが,人為突然変異処理によりそれらすべてに抵抗性を示す系統XM5, XM6, XM14が得られている.各系統は劣性の1抵抗性遺伝子を持ち,それぞれxa19, xa20, xa42と命名された. 2021年度の実績を以下に示す. (1)イネ品種 日本晴に野生型のXa42遺伝子で形質転換した個体とXM14を交配し,得られたF1個体を自殖させてF2となる種子を得た.また,日本晴にゲノム編集を行い、野生型Xa42遺伝子が変異型遺伝子ホモ接合に変換された個体を複数得た。 (2)XM14の擬似病斑の組織構造および発達経過を観察した.走査電子顕微鏡で観察したところ表面における異常は観察できなかった.病斑を表皮組織よりも深く分析できるX線解析顕微鏡で観察したところK,Si, CaおよびClについて分布に粗密が見られる試料が見られた. (3)通常栽培で播種後25日のXM14, IR24ではROSとNOの両方とも、XM14の方が有意に多かった。擬似病班が出現する条件で栽培して比較したところ、両系統ともに、NO量は通常栽培より有意に高い値を示した。PR1a、PR1b遺伝子の発現は、擬似病斑が出現したXM14で非常に高かった。 (4)xa19, xa20の候補染色体領域におけるSNPを検出できるようなDNAマーカーを設計し,白葉枯病抵抗性とDNAマーカー遺伝子型の関係を調査した. xa19, xa20, xa42遺伝子 の日本型品種台中65号背景の準同質遺伝子系統,長稈遺伝子と3抵抗性遺伝子を組み合わせたIR24背景の準同質遺伝子系統作りを進め,BC3F1となる種子を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム編集の実験系が確立され,xa42遺伝子の変異型ホモ接合体が得られていること,xa19, xa20の候補遺伝子の確認が遺伝学的に行われたこと,XA42に見られる擬似病斑の形態学的観察,遺伝子発現解析,生理学が進んでいること,抵抗性遺伝子によるyield penaltyを検証し緩和できるような実験材料作りが進んでいることから,順調と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
(1) xa19, xa20の候補遺伝子に関する遺伝子編集を行う. (2) 白葉枯病菌の形質転換により,白葉枯病菌の葉への侵入が可視化できる実験系を構築する. (3)イネナショナルバイオリソースプロジェクトで化学変異原MNUによる変異誘発系統群が育成されており,Targeting Induced Local Lesion IN Genomes (TILLING)法によって,新規対立遺伝子の選抜が可能となっている (TILLING オープンラボ).これにより得られたxa19, xa20, xa42新規対立遺伝子の抵抗性を評価する. (4) xa19, xa20, xa42遺伝子の日本型品種台中65号背景の準同質遺伝子系統,長稈遺伝子と3抵抗性遺伝子を組み合わせたIR24背景の準同質遺伝子系統作りを進め,BC3F2となる世代を展開し,日本型品種背景下での各抵抗性遺伝子の抵抗性発現および長稈遺伝子によるyield penaltyの緩和を,xa19, xa20, xa42遺伝子に特異的なSNPを検出するDNAマーカーを用いて評価する.
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