研究課題
繰越期間を通じて、カリウム輸送体遺伝子欠損突然変異株へのカリウム輸送体遺伝子の導入、相補株の作出行った。カリウム輸送体遺伝子を欠損したイネ突然変異株を用いて、カリウム輸送体遺伝子の有無が葉鞘ー葉身のカリウム分配に及ぼす影響を調べた。土耕栽培ではカリウム欠乏条件を作ることが難しかったため、水耕栽培にてカリウム欠乏からカリウム至適条件、カリウム過剰条件を設定して、葉身と葉鞘におけるカリウム濃度を測定し、カリウム濃度の葉鞘葉身比を算出することで、葉鞘におけるカリウム排除能におけるカリウム輸送体遺伝子の生理的意義を検討した。カリウム欠乏条件では、カリウムの葉鞘葉身比がカリウム輸送体遺伝子欠損変異株で減少し、葉身へのカリウム輸送量が増加した。この傾向はカリウム至適濃度条件下およびカリウム濃度が水耕液に9 mMに達するまで見られた。しかし水耕液のカリウム濃度が9 mMを超えると野生株とカリウム輸送体遺伝子欠損変異株の間にカリウム葉鞘葉身比の違いが見られなくなった。この結果は、極端に高濃度なカリウム条件でなければ、このカリウム輸送体遺伝子が葉鞘でのカリウム排除に関わることを示している。しかし、現在までにこのカリウム欠乏による生育の減少およびカリウム輸送体遺伝子の欠損による生育の回復が見られておらず、葉身のカリウム濃度の調整が植物体全体の生育量を調整し、カリウム輸送体遺伝子がその役割を担うという結論は得られなかった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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