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2021 年度 実績報告書

環境×遺伝子型相互作用にもとづくダイズの超多収生育型の設計

研究課題

研究課題/領域番号 19H02943
研究機関岡山大学

研究代表者

齊藤 邦行  岡山大学, 環境生命科学学域, 特任教授 (60153798)

研究分担者 白岩 立彦  京都大学, 農学研究科, 教授 (30154363)
前川 富也  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 推進チーム長等 (40409090)
義平 大樹  酪農学園大学, 農食環境学群, 教授 (50240346)
磯部 勝孝  日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60203072)
鄭 紹輝  佐賀大学, 農学部, 教授 (90253517)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードダイズ / 環境×遺伝子型相互作用 / 多収性 / 米国産品種 / 準同質遺伝子系統 / 無限性品種 / シグモイド型被覆尿素肥料 / 日長反応性
研究実績の概要

各地域環境における多収性を最大限に発揮するための播種期と熟期の関係を解析するために,2021年も熟期だけが異なる準同質遺伝子系統CLARK-NILsを用い,北海道から九州まで,同一条件で栽培し,収量における環境×遺伝子型の相互作用を検討した.CLARK-NIL系統においては,e1e2e3, e1e2E3, E1e2e3, e1E2E3 (Clark), E1e2E3, E1E2e3, E1E2E3の順に生育期間が長くなった.3ヵ年の結果を概観すると,北海道では早生系統のe1型で多収となり,南になるにしたがって晩生系統のE1型で収量性が高くなる傾向にあり,e1型ではE2,E3ともに栄養成長期間を伸ばし増収効果があると推察された.米国産多収品種(UA4805,UA4910等)を用いて,日本産品種と収量性を比較した結果,2020年にはつくば,藤沢,岡山で多収性が認められ,特につくばではUA4805, 459g/㎡, UA4910, 527g/㎡と超多収が実証された.2021年は7月上旬,8月中旬に雨が多く,10月上旬は気温が高く推移した.天候不順により,藤沢,京都,岡山の収量レベルは低かったが,岡山ではUA4805の狭畦密植栽培で415g/㎡の収量が得られた.
【札幌試験】無限伸育性品種では総じて分枝可塑性の高い品種は多収傾向にあった.【藤沢試験】UA4805は莢数が多く,節当たり開花数が多いことが関係した.【京都試験】高夜温は高温耐性品種DS25-1では収量低下は小さかった.【岡山試験】UA4805は狭畦密植栽培で多収を示し,これには開花数が多く結莢率の高いことが関係した.【佐賀試験】E3が長日に反応しE1を刺激して開花を遅らせ,短日条件ではE3の効果がなくなる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

各地域環境における多収性を最大限に発揮するための播種期と熟期の関係を解析するために,2021年も熟期だけが異なる準同質遺伝子系統CLARK-NILsを用い,北海道から九州まで,同一条件で栽培し,収量における環境×遺伝子型の相互作用を2019,2020,2021年の3ヵ年検討した.北海道では早生系統のe1型で多収となり,南になるにしたがって晩生系統のE1型で収量性が高くなる傾向にあり,e1型ではE2,E3ともに栄養成長期間を伸ばし増収効果があると推察された.米国産多収品種(UA4805,UA4910等)を用いて,日本産品種と収量性を比較した結果,2020年にはつくばではUA4805, 459g/㎡, UA4910, 527g/㎡と超多収が実証された.2021年は7月上旬,8月中旬に雨が多く,10月上旬は気温が高く推移した.天候不順により,藤沢,京都,岡山の収量レベルは低かったが,岡山ではUA4805の狭畦密植栽培で415 g/㎡の収量が得られた.【札幌試験】無限伸育性品種では総じて分枝可塑性の高い品種は多収傾向にあった.Twin row密植栽培により増収効果が認められ,これには分枝可塑性が関係した.【藤沢試験】UA4805は莢数が多く,節当たり開花数が多いことが関係する.津久井在来をシグモイド型被覆尿素肥料の追肥量を減肥しても子実タンパク質が向上した.【京都試験】高夜温はフクユタカの乾物重・子実重を著しく低下させたが,高温耐性品種DS25-1では低下は小さかった.【岡山試験】UA4805は狭畦密植栽培で多収を示し,これには開花数が多く結莢率の高いことが関係した.【佐賀試験】E3が長日に反応しE1を刺激して開花を遅らせ,短日条件ではE3の効果がなくなる.各分担者も確実に成果を挙げている.

今後の研究の推進方策

熟期だけが異なる準同質遺伝子系統CLARK-NILsの収量性の評価においては,北海道から九州まで,同一条件で栽培し,Clark-NILsのフェノロジー,収量評価を継続して,収量における環境×遺伝子型の相互作用を解明する.北海道では早生系統のe1型で多収となり,南になるにしたがって晩生系統のE1型で収量性が高くなる傾向にあり,e1型ではE2,E3ともに栄養成長期間を伸ばし増収効果があることを確認する.UA4805の多収性が確認されたので,多収作期,栽植様式,乾物生産,群落構造,生理特性(窒素固定活性)等の比較を行い,UA4805の多収性機構を解明する.その他,個別課題の実施を継続する.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] ダイズの日長反応性における<i>E1</i>,<i>E3</i>遺伝子の相互作用2022

    • 著者名/発表者名
      松本 拓己、藤田 大輔、鄭 紹輝
    • 雑誌名

      日本作物学会講演会要旨集

      巻: 254 ページ: 112~112

    • DOI

      10.14829/jcsproc.254.0_112

  • [雑誌論文] ダイズ品種における分枝可塑性と収量性2022

    • 著者名/発表者名
      松井 俊樹、飛谷 淳一、義平 大樹、鈴木 暖佳
    • 雑誌名

      日本作物学会講演会要旨集

      巻: 253 ページ: 31~31

    • DOI

      10.14829/jcsproc.253.0_31

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ダイズにおける千鳥播栽培が生育、収量に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      飛谷 淳一、神村 祐大、平栗 裕大、松井 俊樹、義平 大樹
    • 雑誌名

      日本作物学会講演会要旨集

      巻: 253 ページ: 29~29

    • DOI

      10.14829/jcsproc.253.0_29

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 関東において子実収量の高いClark-NILs系統ダイズの特性について2022

    • 著者名/発表者名
      佐々木 洋平、筑肱 章裕、工藤 祐輝、小島 良太、万代 英明、肥後 昌男、磯部 勝孝
    • 雑誌名

      日本作物学会講演会要旨集

      巻: 254 ページ: 26~26

    • DOI

      10.14829/jcsproc.254.0_26

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] Analytical studies on high-yielding characteristics of US soybean cv. ‘UA4805’ in comparison with Japanese cv. ‘Akimaro’2022

    • 著者名/発表者名
      Sultanzada Mohammad MAROUF, Yu HASEGAWA, Kuniyuki SAITOH
    • 雑誌名

      Report of the Chugoku Branch of the Crop Science Society of Japan

      巻: 59 ページ: 18-19

    • DOI

      10.24536/cssjchugoku.59.0_18

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ダイズ品種に対する千鳥播および狭畦栽培が生育、収量に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      神村 祐大、平栗 裕大、松井 俊樹、飛谷 淳一、義平 大樹
    • 雑誌名

      日本育種学会・日本作物学会北海道談話会会報

      巻: 62 ページ: 72~73

    • DOI

      10.20751/hdanwakai.62.0_72

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Analytical studies on high-yielding characteristics of US soybean cv. ‘UA4805’ in comparison with Japanese cv.‘Akimaro’2022

    • 著者名/発表者名
      Sultanzada Mohammad MAROUF, Yu HASEGAWA, Kuniyuki SAITOH
    • 学会等名
      Annual Meeting of The Chugoku Branch of The Crop Science Society of Japan in 2022
  • [学会発表] ダイズ品種「ゆきぴりか」のTwin row栽培が生育、収量および受光態勢に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      松井俊樹, 飛谷淳一, 義平大樹
    • 学会等名
      育種・作物学会北海道談話会会報 62
  • [学会発表] Study on high yielding Canadian soybean cultivars in central Hokkaido and its high yielding factors ―Comparison with Hokkaido cultivars in yield components, growth analysis and branching plasticity ―2021

    • 著者名/発表者名
      Taiki Yoshihira
    • 学会等名
      10th Asian Crop Science Association Conference
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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