前年度にトウガラシで初めてとなるベゴモウイルス抵抗性遺伝子の単離に成功し、抵抗性遺伝子pepy-1がPelotaをコードすることを明らかにした。本年度は、異なるベゴモウイルス抵抗性トウガラシを用いたfine mappingを行い、新しい抵抗性遺伝子を単離した。PG1-1はC. pubescens由来の抵抗性を種間交雑によりC. annuumに導入した系統である。PG1-1と感受性のSCM334の交雑F2集団、またF3集団を用いて抵抗性遺伝子のマッピングを行い、抵抗性遺伝子が第7染色体上の722 kbの領域にあることを明らかにした。候補領域には17の遺伝子が座上しており、この中でもDFDGD‐Class RNA‐dependent RNA polymerase(CaRDR3a)を最有力の候補遺伝子とした。CaRDR3aの転写産物を解読し、推定アミノ酸配列を調査したところ、抵抗性のPG1-1は機能型と推定される配列を有していた一方で、感受性のSCM334では一塩基欠損によるフレームシフトによりRDRとしての機能を喪失していることが明らかになった。さらに、複数のトウガラシのリファレンス配列を調査したところ、全てが異なる様々な感受性型アリルを有していることが明らかになった。PG1-1のRDRに特異的なIndelを発見し、それを検出できるIndelマーカーを開発したことから、遺伝子上に作成したマーカーで確実に抵抗性形質を識別することも可能になった。最後に、ウイルス誘導性ジーンサイレンシングを行い、PG1-1でCaRDR3aの転写を抑制すると抵抗性を喪失し、感受性形質を示すことを確認した。以上のことから、新規抵抗性遺伝子Pepy-2はRDRをコードすることを解明した。今後は、pepy-1とPepy-2を合わせ持ったトウガラシの抵抗性を評価し、育種での有用性を検討する必要がある。
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