研究課題/領域番号 |
19H02953
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 英樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (20197164)
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研究分担者 |
宮下 脩平 東北大学, 農学研究科, 助教 (60556710)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | キュウリモザイクウイルス / 核酸認識受容体 / ウイルス感染防御 |
研究実績の概要 |
これまで、動物の自然免疫においてウイルス感染防御に主要な役割を果たしている核酸認識受容体を介したウイルス防御システムが、植物免疫にも存在することを示す知見はなかった。しかし最近、poly(I:C)[動物において自然免疫を賦活化させる誘導核酸として広く利用されている]を処理した植物において、防御応答マーカー遺伝子の発現が誘導されるとの報告がなされた。この予備的知見に基づき本研究では、シロイヌナズナに不顕性感染するキュウリモザイクウイルスHo系統[CMV(Ho)]を核酸認識受容体認識ウイルス、Turnip crinkle virus (TCV)をチェレンジ接種ウイルス(TCVの増殖抑制より、ウイルス防御システムが誘導が確認できる)に用いて解析を行った。CMV(Ho)の前接種3日後にTCVをチャレンジ接種したところ、再現性良くTCVの感染増殖と細胞間移行の阻害が認められた。次に、このTCV増殖抑制が、CMV(Ho)の前接種で生成されたCMV核酸分子(1本鎖または2本鎖RNAを想定)の受容体認識によるウイルス防御システム誘導に起因することを調べるため、核酸認識受容体候補である3種類の受容体キナーゼ遺伝子(SERK1, SERK2 and SERK4)にT-DNAを挿入することにより機能を喪失した変異体(serk1, serk2 and serk4変異植物)を作出した。さらに、機能を喪失したserk1, serk2 and serk4変異植物を相互に交配し、複数の受容体キナーゼ遺伝子が機能喪失した二重変異植物を作出した。SERK核酸認識受容体によるCMV核酸分子の認識がウイルス防御システムを誘導するのであれば、serk変異植物へのCMV(Ho)接種では、TCV増殖抑制がキャンセルされることが予想される。次年度は、これらserk変異植物を用いてウイルス防御システムを誘導試験を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、serk変異植物を用いてウイルス防御システムを誘導試験を実施、終了する予定であったが、コロナ禍により実験が遅れ、同実験の実施に必要な材料(serk変異植物シリーズ)の準備までは達成した(実験は次年度に実施する)。さらに、タグ付きSARK遺伝子の一過的発現、タグの種類を変えてSARK一過的発現を行い、一過的発現条件の検討とCMV核酸分子と核酸受容体SARKの相互作用の検出を行う予定であったが、実施できなかったことから、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
SERK核酸認識受容体によるCMV核酸分子の認識がウイルス防御システムを誘導することを実証するため、CMV(Ho)を前接種したserk変異植物におけるTCV増殖抑制の有無について、早急に試験を実施する。さらに、タグ付き核酸受容体SARK遺伝子をバイナリーベクターに組み込んだベクターコンストラクトを構築し、CMV核酸分子と核酸受容体SARKの相互作用の検出を行う。
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